「はは、可愛いね」


その眩しいくらい爽やかで優しい微笑み。

これは…王子様…?





運命を君と。
35.Fresh price and Pun







「ったく、お前どこ行ってたんだよぃ?」
「ごめんごめん。マネの仕事でうろちょろしてました。」
「ふーん。ならいいけど。」


一通りドリンクを配り終えた名前は、ブン太に連れられ立海メンバーが集まっているコートへとやってきた。


「あ!いた!!名前先輩どこ行ってたんすか?!」
「わっかめくーん!久しぶりー?」
「他の男のとこに行くなんて、妬けるのう?」
「はっはー何言ってんの銀髪くん」
「お務めご苦労様です。」
「大変だな、これだけ人数いると。」
「ム○カ様、外人さん!ありがとうございます…!」
「もういいのか?」
「パパ!」
「………う、うむ…」

パパという呼ばれ方にいまだに慣れない真田。
照れているようで少し顔が赤い。
呼んでる本人の名前と真田は、
その響きが怪しく聞こえることに気付いていない。

「多分だいじょ…う、ぶじゃない。ドリンク残ってる…」
「んだよお前、まだ配り終わってなかったのかよぃ?」
「はは、そうみたい…どこ配ってないんだろう…」

「おーい!」

名前がどこに配ってないかを考えていると、遠くの方からあまり聞き覚えのない声が聞こえた。
声の方を振り向くと、手を振りながら駆け寄ってくる姿が。
目の前まで来たその人物が止まり、こちらに笑顔を向けた。
その笑顔は爽やかでとても眩しいものだった。

「マネージャーさん、だよね?」
「は、はい!」
「ドリンク貰ってないから貰おうと思ってさ。
あ、ごめん、忙しかった?」

その爽やか笑顔の人物は、名前の周りにいる立海メンバーの顔を見渡して様子をうかがった。

「すまないな、佐伯。うちのマネージャーが不手際を。」
「いや、大丈夫だよ柳。
これだけの人数がいたら大変だろう。」

そう言ってまた微笑む。
なんて眩しい笑顔なんだろうと、思わず眩しそうな仕草をする名前にそこにいた全員が首を傾げた。

「何やってるんすか、先輩。」
「いや、その、笑顔が眩しくて…王子様みたい…」
「え…?」

予想外のことを言われた爽やか笑顔の人物――――佐伯虎次郎は、目をパチパチと瞬きをし、名前を見た。
そして、ふっと吹き出すと笑い出したのだ。

「え、え?なんで笑ってるの…?!」
「ごめんごめん、ふ、はは、可愛いね。」

先程の微笑みとはまた違ったその笑顔は、まさに王子様かと思うほどの眩しさで、また名前は手を顔の前にやり眩しそうな仕草をすると、横にいたブン太に軽く叩かれたので大人しくやめた。



「おーい!サエさーん!」
「お、きたきた。」

ぞろぞろと増えてきた赤いジャージの軍団。六角中である。

「マネージャーさんいたんだね!よかったー!
って!!すごい可愛い…!!」
「おいおい、剣太郎」
「本当に可愛い人みたいだよ。」

一年生部長の葵が少し顔を赤らめてキラキラとした目で名前を見て、それを呆れたように止める黒羽。そして先程までのことを思い出しながら微笑む佐伯。
立海メンバー(主にブン太と赤也)が少しムッとしたのは言うまでもない。

「サエ、楽しそうなのねー」
「マネージャー、ドリンク忘れるなんて、なんのマネじゃ?…ぷっ」
「ダビデ!」
「バネさんたんま…!」
「また始まったのねー」
「クスクス…」
「あー気にしないでいいよ、いつものことだから」

突然のダジャレとツッコミに呆然とした名前だが、途端に俯き肩を震わせだした。

「おい、」

ブン太が大丈夫かと声をかけると声をあげて笑い出したのだった。


「あは、あははははっひぃっふふ、ははは、あひゃ、ふはっひぃっ」

ものすごい笑い方である。


名前が何に対して笑っているのかその場にいる全員がわからず何事かと見つめている。
にも関わらず笑い続け涙目になっている名前。

ブン太が止めに入ってようやく少し落ち着いたのか、息を整えようと深呼吸している。

「だ、大丈夫かい?」
「大丈夫、です、いやでも、なんの、マネじゃ?って、ぷ、ふははっ、あはっひぃっひぃっ」

どうやらダビデのダジャレがものすごくツボに入ったようだ。六角のメンバーはもちろん、立海メンバーも唖然としている。
こんなにもダビデのダジャレに笑う人はあまりいないであろう。
言った本人であるダビデも驚いたように目を見開いたが、少し照れたように目をそらした。その様子を黒羽に見られからかわれたのだが、黒羽自身も、珍しい光景に、名前の笑顔に、魅了されるのであった。

「それじゃあ、練習に戻ろうか。
ドリンクは貰っていきます!ありがとうございました!」
「あ、ううん!忘れてごめんね!」
「それじゃあ名前ちゃん、またね」
「じゃあな」
「失礼します」
「またなのねー」

去っていった六角メンバーをぼーっと見つめる名前。
その横に赤也と仁王が並ぶ。

「なんなんすかねアイツら。
名前先輩に馴れ馴れしいっすよ。」
「うちのお姫さんはだいぶ人気のようじゃのう?」
「何言ってんの?」
「良いことではないですか。その方が楽しそうですしね。」
「ブン太、お前顔怖ぇよ。」
「……んなことねぇだろぃ。ジャッカル。」
「嫉妬か。」
「男の嫉妬は見苦しいぞ丸井!」
「うるせぇよ真田!」
「な…っ」

何に対して嫉妬しているかわかっていない真田に言われ少し怒るブン太。そんなブン太の様子を伺うようにのぞき込む名前。
「見てんじゃねーよ」と頭をがしがしと撫で、目をそらすブン太。

名前を好きになる人物が増えるためにアレが増えていくことに、不安と苛立ちでいっぱいなブン太であった。





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