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横山家は朝から騒がしい。至る所からあれがない。これがない。あれはどこ?桜良ー!姉ちゃーん!という声が飛び交う。20歳を超えたいい大人が揃いも揃って恥ずかしい。必ず第一声をあげるのは長男の侯隆。キッチンで朝ごはんを作っている私の所へやって来て

侯「桜良。俺の携帯知らんか?」

「昨日テーブルに置きっぱなしやったからテレビの横で充電してある。」

侯「そうか。」

「あと、ついでに言っとくけど、財布はテレビ台の引き出しの中、家の鍵は玄関の靴箱の上ね。全部置きっぱにしにするのやめてくれる?」

侯「んー。」

そう言ってボサボサの頭を掻きながらテレビの方へ向かっていった。

ホンマに分かってんのかな。あの人。なんて言葉をボソッと吐き朝食
の準備を再開する。そして5分もしなうちにまた誰かに呼ばれる。

亮「姉ちゃん!俺の紺のTシャツ知らん?一昨日着てたやつ!」

「部屋置いてたやろ?」

亮「Tシャツだけなかった。」

「私全部畳んで持ってったで。部屋でなくなったもんは自己責任や。自分で探して。」

亮「なんでぇー。俺洗濯出してから触ってないもん。」

「ほんなら自分で洗濯したええやん。文句あるなら。」

亮「文句ちゃうやん!事実やん!」

「朝からめんどくさいなぁ。無いんやったらちゃうの着たええやろ!こっちは忙しいねん!」

亮「もうええわ!」

そう言って階段を駆け上がっていく亮。子供みたいなドンドンと音を立てて上がっていく25歳。頼むから成長してほしい。

信「ドンドンうるさいのぉ。誰や!!朝から!!」

「信ちゃんおはよう。亮やで。紺のTシャツが無いんやとさ。」

信「おはよ。しょーもない事で朝から騒ぎよってからに。」

「ホンマにそれやで。私かて朝から暇ちゃうねん。とりあえず信ちゃん。お味噌汁運んで。」

信「わかった。」

人数分お椀が乗ったお盆を持ってリビングへ向かった。朝食の準備を再開してまた数分。また誰かが私を呼ぶ。

章「姉ちゃーん!忠義起きひんねんけどー!」

「起こしに行くから章大は自分の準備先やり。」

章「わかったー!」

朝の短時間でもこの調子。やる事が全く進まない。そしてまた数分後今度は洗面所から呼ばれる。

す「桜良ー!歯磨き粉無くなったー。どこー?」

いい加減にしてほしい。ご飯を作るのにここまで30分。呼び止められなかったらもう既にできあがり配膳も終わっているはず。

「自分の家やねんから置き場所くらい把握して!!毎回同じところに置いてるやろっ!!」

す「そこに無いから聞いてんねん!」

「ある。探して。先週買ってんから無いはずないやろ。」

す「なんで俺が探さなあかんねん。」

「ほな、ご飯作ってくれるん?なぁ。遅刻するん誰?朝からどいつもこいつもギャーギャーギャーギャーうるさいねん!私は家政婦ちゃうぞ!わからんのやったら他の人に聞いて。なんでも私に聞くな!」

全員に聞こえるように大きな声で言うと、さっきまでギャーギャードタドタしていた音が止み、シーンとなった。
そして各場所から「はい。」と言う言葉だけ聞こえてきた。

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