次の移動先まで30分ほど。移動車に乗り込むと、もう少しで日付が変わる時間だからか他のメンバーはウトウトしている。俺は何だか寝る気にもならず、スマホ片手に自然とゲームのアプリをタップした。
「あれ、珍し」
この時間はあんまり人がおらんかもなぁと思いつつログインしたら、深夜にはあまり見ない仲間が1人。チャットを送ったらすぐ返ってきて、自然と頬がゆるんだ。
「恭平、またゲームしてるん?」
「大橋くん起きとったの?」
「んー、寝かけてたけど」
ぽやぽやっとした顔の大橋くんが声をかけてきた。ドラマの撮影で忙しいんやし、移動中に寝ときーと言うと「ありがとぉー」と間延びした返事が返ってくる。
俺にとってゲームの時間は必要不可欠で、顔が見えない分、自分をアイドルとして見る人がいないのが心地良い。ただ1人の人間として楽しめる唯一の時間。
「よっしゃ、残り20分で全員倒したる」
珍しくこの時間にログインして、豚玉を食べ過ぎたと言う今日の相方と共に、束の間の楽しい時間が始まった。
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