GS3
主人公は柔道部のマネージャー。
1年の時に同じクラスの不二山嵐に勧誘され、柔道部へ。
2年になって、初めての部員、新名旬平に出会う。
それから3人で柔道部を盛り上げた。
必然的に休日も3人でつるむ事が多くなった。
2年の終わりに新名に告白される。
しかし、主人公は嵐の事が好きだった。
だから、これからも友達でいて欲しいと言った。
新名はそれを受け止めた。
一番近くにいる友達として、傍にいたい。
友達では、いさせてくれる…よな?と悲しみが宿ったその笑顔。
それから新名は主人公の話を親身に聞いてくれた。
嵐と喧嘩して元気がないと気晴らしにゲーセンに連れて行ってくれたり
嵐から誘いをもらって喜んでると、新名もよかったな!って笑顔で言ってくれる。
そんな彼が主人公の中で次第に大きくなっていく。
3年目の夏合宿。
プールに忍び込んで泳ぐ。
ふと新名をみると目があう。新名は主人公を見ていた。
新名びっくりした顔をするが、微笑んで泳ぎだした。
その微笑んだ顔が主人公の脳裏に焼きついた。
その夜、眠れなくて非常階段に出る主人公。月明かりが綺麗で眺めていた。
そこに新名登場。
「な〜にしてんの?こんな時間に」
「…なんか、眠れなくって」
「…俺もいっしょ。…今日で合宿最後だもんな〜」
「うん…」
「…あんたと嵐さんも、もうすぐ引退…か」
「……さみしい?」
「超さみし〜…って言ったら残ってくれんの?」
「ニーナが言うなら…」
「……」
真剣な顔になる新名。
「…親友の…頼みだから…?」
「…え?」
「…そんな…事いうと…勘違いするから…やめて…」
「……ごめん…」
「……あんたがそんな顔すんなって!ごめん!俺が悪かった!だからそんな泣きそうな顔すんなって」
「…ニーナ」
「…俺が…決めたんだ…」(呟くように)
「…え?」
「……今までみたいに毎日会う事もなくなるかもだけどさ…これからも一番の親友でいさせてくれよな?」
「……」(黙って頷く)
「…じゃ、俺先に寝るから。アンタも早く寝なよ?」
「うん…おやすみ」
「おやすみ」
新名その場からいなくなる。
主人公、新名がいなくなった空間を見つめる。
さっきまでの新名の表情が脳裏に蘇る。
『これからも一番の親友でいさせてくれよな?』
の言葉を思い出す度に胸が苦しくなる。
友達でいてって言ったのは自分なのに…どうしてこんなに苦しいの?
私は嵐君が好きで、それをニーナは応援してくえてるのに…
『俺…あんたの事が好きだ』
…もし、今あの言葉を言われたら…言って貰えるなら…
「私は……」
…言えるわけないよ。
私は…いつのまにか…あなたに…惹かれた。あなたが…好きです。
…そんな事、今更、いえるわけがない…。
主人公は蹲って声を殺し、泣いた。
それからは主人公は自分の気持ちを押し殺した。
ニーナに自分の気持ちをしられないように。
でも、ニーナと一緒にいたいという女の子の気持ちはなかなか抑えられない。
ニーナがいれば目で追ってしまう。
ニーナが隣に来れば笑顔になる。
それを友達のカレンとミヨに指摘される。
だめだ。このままじゃニーナにも私の気持ちが知れてしまう。
もし知られて、幻滅されたら?
あんたが友達でいろって言ったのに…と、友達ですらなくなったら?
そんな恐怖に脅える。
そのせいで、ニーナと一緒にいても少し余所余所しくなる。
帰り道、ニーナを見かける。
受験勉強大丈夫?とか話する。
主人公の様子がおかしい事に気づく。
「…最近、なにかあった?」
「…ううん。別に何もないよ…?」
「…俺に、言えない事?」
「…だから、なにもないって!」
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「俺、…あんたの事が好きだ」
2年が終わる冬の頃。海岸で告白された。同じ柔道部の後輩でとても仲の良いニーナに…。
びっくりした。いつものからかい顔じゃなかったから。真剣に、じっと私の顔をみて言ってくれた。夕陽のせいか紅く染まる彼の頬。それは私に同じ事が言えるんだろうな。
彼の気持ちはとても嬉しい。だけど…。
「…ごめん。私…」
私はそれに応えられない。私の気持ちは…別の人にあるから。
「…好きなヤツ…いるの?」
彼の言葉に、ゆっくりと頷いた。
「それって、嵐さん?」
「!」
砂浜に向けていた視線をニーナに向けた。どうして…。
「何で知ってるの?って顔してんね」
「え……うん」
「分かるよ…俺、ずっとあんたの事みてたし。あんたは…嵐さんの方ばっかみてたし」
「……」
ニーナにばれてるって事は…もしかしたら嵐君も気づいてるのかな?!どうしよう…嵐君は私の事ただのマネージャーくらいしにか思ってないだろうし、それで好きって気持ち知られて…避けられたりしたら…。
「…プッ」
色々悩んでいると、目の前にいる人がいきなり笑い出した。
「あんた…すっげぇ顔。何考えてるか分かりやすい」
笑いながら言われて、私どんな顔してたんだろうって考えて恥ずかしくなった。
でも…人が必死に考えてるのに笑うことないじゃん!
「あ〜ゴメンゴメン!…あんたの気持ち、すっげぇよく分かる。俺も…今、同じ気持ちだからさ…」
「あ…」
そっか…ニーナも…。告白して…今までの関係が変わっちゃうのが怖くない人なんて、いないんだよね。
「…ま、あんたの気持ち、気づいてるの俺くらいだろうし、これから…友達として協力してやってもいいぜ?」
「ほ、ほんとう?!」
「あぁ。あんた、このままだったらただのマネージャーポジションから脱出できそうにないしな」
「うっ…」
はっきり言われて、少しショックだった。
だって…本当に、嵐君とは一年の春から一緒にいるけど…進展する気配全くないんだもん。
柔道一直線だし?…そこがかっこいいんだけどね…。
「あんた達に一番近い俺が色んな悩み、聞いてやるって!…だから…」
「…だから?」
さっきまで笑ってたニーナの顔が…
「…友達として…あんたの傍に…いさせてくれる?」
笑顔なのに…凄く悲しそうな顔をしていた。
その気持ちが…痛いくらいに私に伝わった。…涙が出そうになるくらい。
でも、私は泣いちゃだめ…。
そう自分に言い聞かせ…笑顔をみせた。
「私こそ!…これからも友達でいてくれるかな?」
いつもの、明るいニーナの笑顔で返事をしてくれた。
「…あ〜!なんか緊張取れたらお腹空いた!なんか食ってこうぜー!そこでこれからの作戦会議ッ!」
「作戦会議?」
「そっ。嵐さんにあんたの事恋愛対象に見てもらうために。題して、『嵐さんを由佳ちゃん色に染めよう大作戦』!」
「プッ!なにその作戦」
「ヘヘッ!ほら、行こっ!」
誘う様に浜辺を後にする彼を追って私も歩いていく。
海から流れ込む風は凄く冷たいもので、ニーナも私もコートのポケットに手を入れて歩いた。
―あんた、ぼーっとし過ぎ!…ほらっ。
前に、ニーナがそう言って私の手を引いてくれたのを思い出した。
でも、その手はしっかりとポケットの中に収まっている。
…少し寂しいって思ったけど、それが彼なりのケジメなのだと思った。
私が、寂しいとか思うなんて間違ってる。そう自分に言い聞かせた。友達でいてくれるといってくれたニーナに失礼だ。
「お〜い!早く行こうぜ!」
手招きする彼に向かって、私は浜辺に足をとられそうになりながら走った。
―友達でいてくれるかな?
あの言葉が、こんなに辛いものになるなんて、この時は考えてもいなかった…。
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