本当は

 目を覚ましたラミアにレギュラスはほっとした。しかし彼女の表情は硬く強張ったままだ。


「れぎゅ…らす…?」

「おはようございます、ラミア。水、飲みますか?」


 上体を起こしながら小さく頷くラミアに水の入ったコップを渡す。微笑んだまま。
 少しずつ水を嚥下してただ一点を見つめるラミア。その光は消えそうなほど弱弱しかった。


「ありがとう……」

「どういたしまして」

「………」

「………」


 なんて声をかければいいのか、わからなかった。ただ座って、視線を窓へやる彼女を見るしかできなかった。


 先に口を開いたのはラミアだった。


「………大丈夫…だよ」

「え……」

「大丈夫 大丈夫」


 言い聞かせるような声色に、無理に笑おうとする表情。レギュラスは何も言えなくなってしまった。

 なんて無力なんだろう。傷ついて、傷ついて、それでも心配かけまいと自分を消して無理に笑う彼女に、自分は何もできない。歯がゆかった。こぶしを握り締めて、彼女の目をまっすぐ見る。



「僕の前でまで、偽らないでください。」

「っ……!」

「何のために僕がここにいると思ってるんですか。それなのに…それなのに…!」

「レグ……」

「あなたが無理をして、どうするんですか……!」


 レギュラスは立ち上がってラミアを抱きしめた。


「がまん…しなくていい……?」

「はい」

「泣いて……いいの…?」

「当然です」

「っ……あぁ…うぁ…ぁ……!」


 ラミアはレギュラスの腕の中で、小さく嗚咽を漏らし始めた。レギュラスはラミアを抱く腕の力を弱めないまま、彼女の頭を撫でた。

嫌いな色で塗りつぶして