忘れられない瞼の裏
「ラミア、こんなところにいたんですか」
「レグ、おはよ」
待ち合わせしているいつもの場所にラミアはいなかった。彼女のいる場所は決まっているので、いつも通り中庭を回れば彼女は木の下で本を読んでいた。
「おはようじゃないですよ。何時だと思ってるんですか、授業はじまりますよ」
「魔法生物学でしょ?嫌いだから出たくない」
「ハァ。またですか?」
最近彼女は授業にあまり出ようとしない。あの日から彼女は少し無気力になった気がする。ただ呪文に関してだけは別だが。
「レグは?出るの?」
「ラミアが出ないなら、僕も出ません。」
「いいの?」
「僕もあんまり好きじゃないですから。一日くらい出なくても問題ないでしょう?」
事実僕も彼女も成績は悪くない。授業一回出ないだけなら何の問題もないのだ。彼女をよく見れば眠れていないようで、目の下に隈ができていた。僕は彼女の隣に座った。パタンと本を閉じる。
「寝れてない?ラミア」
「そうゆう時だけ敬語抜けるのはズルい」
「答えて」
じっと彼女の目を見れば、一瞬目をそらした後困ったように笑った。その笑顔は痛々しかった。
「夜、目を瞑るだけであの日が浮かぶんだ。どうしたらいいかわからなくなる。しょうがないから本読んで、気づいたら日が昇ってるんだ」
「じゃあ、全く寝てないんですか」
「うん……」
溜息を一つ吐いて、僕は腕を伸ばした。
「え……?!」
「考えるのを止めなさい。僕はここにいますから、安心して眠りなさい」
ラミアの肩を掴んでこちらに引き寄せる。ぽすっと僕の肩に彼女の頭が乗る。
「レグ……?」
「君の痛々しい笑顔はもう見飽きました。元気になれとも頑張れとも言いません。ただあの時の笑顔が見たい」
「……ん。ありがと」
ラミアは肩にすり寄るように目を閉じた。僕は彼女の頭を撫でるとその頭に頭を乗せて目を閉じた。
完全に寝入ってしまったらしい。目を覚ますともう日が暮れかかっていた。僕も疲れていたのか。そっと隣を見れば気持ちよさそうに寝息を立てるラミアがいた。
その日一日授業をサボった僕らは、こっぴどく怒られました。