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いいなぁ。
女の子は何しても可愛いし、可愛いから失敗しても怒られないし。
いいなぁ。
私は可愛くないし鈍いし、トロいし、邪魔になるだけだし。
いいなぁ。
私も可愛くなれたらあの人の隣で笑っていても許されるのかな?

はぁ、と溜息をついて教室の隅であの人を見つめていた時。


『その夢、ワタクシが叶えて差し上げましょうか?』


世間では甘ロリと言われるのだろうか。
ピンクのロリータ服に真っ黒の日傘を持った少女が目の前に現れて、ふわりと微笑んで見せた。
あれ?私は学校にいたはず、なのにこの子は誰?
目の前の自体を飲み込めず口をぱくぱくとさせている私を見てその少女は再び口を開く。

「やだ、そんなに驚く事かしら?私は貴女の夢を叶えてあげようとここに来たのに。」
「夢って何?まず君は誰なの??ここは学校、のはず。」

周りを見回すと学校なのだがクラスメートのみんなはいない。
いつの間にか教室に自分を少女のみになったいた。
もう下校時間になったんだっけ?

『勝手に行っては駄目だとあれほど言ったでしょう、チル。』

背後から今度は男の人の声がして慌てて振り返るとそこには自分より身長の高く、黒い髪を肩下まで伸ばした細身の男が立っていた。
いつからいたの、この人…

「だってこの子ずっと窓見てぼーっとしてたんだもん、声かけても反応しないしさ。だから勝手に時間止めて声かけちゃった。」
「かけちゃったじゃないでしょう、全く。」

「自己紹介が遅れました。自分はクロと申します。この小さい人はチル、私らこういう者でして。」

そう言って黒髪の男性は私の目の前数センチの距離まで詰め寄られ少しどきっとしながらも差し出すと一歩下がって軽く頭を下げた。
その名詞は黒い台紙に影絵のような蝶が小枝にとまっているデザインに、ゴシック調の文字で白で『猫夢堂』と、書かれていた。

「猫夢堂…?」
「はい。その通りでございます。」
「そうでございますって言われても、何この胡散臭い感じ。」

この子のお遊びなのかな。
それに付き合ってあげてるお兄さんか誰かなのかな、この人は。

「もう!キミ心の声が駄々漏れなんだけど!!」

幼女が頬を膨らましながらぴょんぴょん跳ねながら怒っている。
だが私からは小さい子どもが駄々をこねているようにしか見えなくて、くすりと笑ってしまった。

「あ!笑った!チルのこと笑ったなー、チル怒ったもん!」

ふわりと持ち上がる身体。
天井に頭がぶつかるかぶつからないかの高さの浮上は経験したことがない。
むしろ人間が浮くなんてそんな現象普通ないでしょ。

有り得ない現象に戸惑い、さっと血の気が引いて身体がひんやりする。

「え、ちょっと、これ何降ろして!」

手足をばたつかせチルと呼ばれる子どもに要求するが下でけらけらと笑っているだけで降ろしてくれそうにない。

「チルのこと笑った罰だよー」

幼女は飴を舐めながらにこにこと浮いている身体を眺めていた。





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