アスファルトに陽射しが反射し、窓の外には薄っすら陽炎が見える。朝のニュース番組では来週いよいよ真夏日を記録するだろうと気象予報士が言っていた。
そんな夏の始まり、教室の管理された空調が心地よく感じる季節に彼女はやって来た。
「苗字の術式ってどんなの?」
ねえねえ、と人見知りとは縁遠いフランクさで隣に座った転校生に灰原が問いかける。
つい先程転校生と紹介された彼女、苗字名前は明るい髪に派手なアクセサリー、丈の短い制服のスカートには少々目のやり場に困る。
軽く名乗っただけの自己紹介以降、特に誰も話題には出さなかったのでうやむやになっていたが、誰もが気になるだろう術式。
「呪言だ」
担任がさらりと彼女の術式を明かしたことで、思わず灰原もピシリと固まった。