最強にしてください。

安藤綺凜、16歳。
職業フリーター、飲食店バイト。
髪は金髪で、耳にはピアスが数本。
いわゆる、ファッションヤンキーです。
喧嘩する度胸も度量も力もないし、もっと言えばヤンキーになりたいと思った事すらない。
何故ならば、この金髪は生まれつきだし、ピアスは親に開けられた。
煙草は吸うけど付き合い程度だし、不可抗力。

「ふー…、今日も疲れたな。」

12月30日。
今日は私の誕生日。
別に、祝ってくれる友達も恋人も居ないからただ歳をとるだけの日。

──その筈やったんやけどなあ。

喫煙所で煙草を吸っていたからなのか、それともサボっていたからなのか。
若しかすると生きているからなのか。
大型トラックが正面切って突っ込んで来た。
何もかもがスローモーションに見える。
それなのに体は動かなくて、やけに居眠り運転の運転手が鮮明に見える。

──くそくらえ。

そう思った瞬間に、私の意識は消えていた。