息も止まるくらいに

呼吸という概念をなくして二人だけの世界に入り込めば、苦しささえ愛おしく感じる。

「ん…………っ、ふ………。」

「…………は……………。」

壊れるのではないかと言う位に軋むベッド、周りは互いに脱いだ服が散乱して激しい情事を物語る。暗闇の中で聞こえる生々しい水音、噛み付くように貪る男に甘い嬌声を漏らす女。

「法正さ………。」

「……肌を重ねている時は言葉はいらない、そうでしょう?」

濡れた唇に人差し指を当て、もう片方の手は決して優しいとは言えぬ愛撫を続ける。あ、と色っぽい喘ぎを出せば再び重ねられる唇。
酸素が欲しくて名前を呼んだのに、また彼の甘ったるい吐息で満たされていく。

骨張った指は下腹部を這って敏感な所をなぞり、疼く腰は自然と彼女の肌に合わせる。抑える理性などはとうになく、法正は欲のままななしの身体を支配した。

「んっ…………。」

「その声も、寄越せ。」

ああ、そんなに求められたら窒息死してしまう。首を絞められるよりもずっと苦しくて甘いキスで。愛しい貴方に呼吸すら奪われたら私はどうやって生きていけばいいだろうか、いっそ彼と一つになってしまえば幸せなのに。

「愛して……ます………愛してます………もっと愛して……。」

言葉はいらない、そう言われても口に出さずにはいられないのが性だ。それでも法正は表情を崩す事なく受け入れ、一番感じる所を容赦なく穿った。

「んんっ。」

果てる時の言葉さえ彼の口内へと消えて呑まれゆく。代わりに彼女の中に流れ行くは彼の欲の塊。

「貴女との口付けは癖になりそうですよ。ああ、いっそこうなったら。」

互いに窒息するまでキスしましょうか。




(それもいいかもしれない、それが二人の愛の形ならば)