たまには変わった遊び

「………………。」

「………………。」

時計を見れば丁度昼時なり。ひたすら本を読み続けるななしと交互に見やり、少し寂しそうに小さく唇を尖らせた。

「……………ななし。」

「はい?」

集中していた意識を現実に戻し、不思議そうにこちらの様子を伺うななし。

「………うん、何でもないよ。」

「………何でもない訳がないですよね。かれこれ同じ事が三回も起きているんですから、流石に気になりますけど。」

「……………。」

ソファーでごろりと寝そべっていた徐庶は上半身のみ起き上がらせ、ななしの目をじっと見つめる。寂しそうな、まるで捨て犬のような哀愁漂わせる雰囲気がこちらまで伝わり、ななしは何だか居た堪れない気持ちになってしまう。

「もしかして、寂しい、とか。」

「…………。」

「………当たりでしょう、元直さん。」

「う………下の名前でいきなり呼ぶなんて、狡いよ……。」

何処か狡いんですか、と頁に栞を挟んでパタンと本を閉じる。

「ん、確かに折角の夏休みなのに、退屈なのはつまらないですよね……。私も本ばかり読んでるのもそろそろ飽きてきちゃいましたし……。」

「………外で何かするにも、今の時間帯じゃあ何処も混んでいそうだよ。」

「んー…………。」

すると突然インターホンが鳴り響いて、宅配ですという爽やかな男の声が。
はいはい、と慌ててななしが荷物を受け取りに行くが、何分かした後、血相を変えたななしが箱を持ちながらこちらにやって来るではないか。

何事かと、徐庶はその見やる箱に目を落とすと

「………………どういう事、だい。」

何故か、徐庶宛にとても人様に公表出来るようなモノではない道具が揃っていた。が、彼はこの様な卑猥な物を頼んだ記憶は一切ない、むしろ肩コリをほぐす健康器具を頼んでいた筈なのだが。

「……………返品しましょう。と言うより徐庶さん、こんな物頼んでいませんよね。」

「……………俺がそんな堂々と購入する変態に見えるのかい。」

「いえ………でも、徐庶さんって結構真面目なタイプだから、実際問題欲求不満でこういうプレイを楽しもうとか密かに考えて……。」

「ごめん、いくら何でもこういう事には疎いんだ。」

でも、と徐庶は続ける。

「君がそういうの受けたい、って言うなら、別だけどね。」

「……………!」

ゆっくり細くなる目つきに思わず背筋が粟立つ。

しまった、変なスイッチを入れてしまった。

そう思った頃にはもう視界は暗転して、身体は床と背中合わせの状態である。

「………使用したら、返品出来なくなりますよ……!」

「うん、そうなんだけど、今はどっちかって言うと」

退屈凌ぎに、使ってもいいかもしれない。

徐庶は不敵に笑むと、ななしの開いてる隙だらけの唇に舌を突っ込んだ。虚を突かれたガラ空きな口内を舐め回し、酸欠に眩む様な長いキスを堪能する。

「………っん……ふ……!」

「ん………可愛いよ、ななし。」

リップ音で唇を離すと、彼女は失われていた酸素を必死に求めて胸を上下させる。が、その隙に上半身の衣類を脱がせ、下着もあっという間に取っ払って素肌の状態を曝してしまうとななしは小さく悲鳴を上げるが、隠そうとした手首はいつの間にか彼のネクタイで縛り上げられており、身動き一つ取れない。

「あっ、やだ………!」

「ごめん、でも、そんな顔で言われたら余計にしたくなる。」

徐庶は箱から楕円形の小さな機械を取り出して、それを胸の頂に宛てて電源を入れる。振動が伝わる毎に彼女の喘ぐ声が大きくなって腰が浮いた。

「あっ、ん……っ、それ、だ、め……!」

「でも、気持ちよさそうだよ?」

腰をくねらせて回避しようと目論むが、徐庶が腰の上に跨った所為で為すがままの行為を続けられる。そうして何分か胸への刺激を続け、ようやく解放されたかと思いきや、今度は下の下着をも取っ払って秘豆に宛てがった。

「こうやって使う事も出来るんだ……。」

説明書通りその部分を重点的に攻めれば、案の定彼女は快楽の刺激に甘ったるい嬌声をかます。嫌々と首を横に振り続けるが、徐庶は構わず強弱のスイッチを最大にして激しい振動をぶちかました。

「いやっ……!」

しかし気持ちがいいのか、身体は素直に液を溢れ出して床に流れていく。

「ええと、すまない……少し刺激が強過ぎたかな……。」

悪びれる様子もない彼は、どうやら新しい何かに目覚めてしまったようで、自分の言葉に酷く後悔するななし。生憎この季節は夏真っ盛り、クーラーも付ける事を忘れ、部屋の中は情交を含めて最高潮に熱い。未だとろとろと溢れる透明な液が異様に生温くて思わず内部が締まった。

「あ、」

どうやら道具は一つではないようで、姿を現したのは人の魔羅を象った道具。

「……これ、あんまり使いたくないな。」

「…………そんな風に、見えませんけど……。」

「いや、本当だよ。……君が、俺以外の物で逝くなんて、なんか許せないんだ。」

どうして変な所で独占欲が出るんですか。そう言いかけたが、蜜壺にひんやりとした何かが触れた瞬間、そんな言葉はあっという間に失われた。どうやら彼は挿れる気のようだ。

「んん………っ。」

「…………ななし、どうかな。」

「どうって、言っても、あっ!」

彼の物ではない硬い根が一気に押し込まれ、それだけで快楽の波は大きく打たれる。ずぶりと押し広げられる未知な感触はどことなく不気味で、思わず唸声した。

「………………。」

「あっ、ん………ぅ!」

徐庶の手によって出し挿れする道具は、不覚だが絶頂へと誘われそうだ。彼以外の物で逝く、それを見られている、そんな事を考えるだけで中が思い切り締め付けられた。

「おね、が……っ!」

「………うん、言ってみて。」

嫉妬深く寄越す目に懇願する。

「貴方のが、欲しい………っ、これじゃ、やだぁ……!」

「……良かった。」

言葉通りそれを抜けば纏わり付く厭らしい液。そういう為の道具とはいえ、気に入らなくなった彼は無造作に放り捨てると、痛々しく自分の衣類を押し上げて象徴する陰根を取り出し、なんの躊躇もなく濡れる肉壁に滑り込ませた。

「ーーーーーっ!」

先程とは比べ物にならぬ、熱くて硬い、大きな彼。しかしそれを感じて不思議と安心感が広がる。

「今度は俺ので、感じてくれるかな……?」

「徐庶、さ……っあぁ!」

腰を打ち付ける度に跳ね上がる肢体。どうやら辛抱ならないのは徐庶の方らしく、今にも内部の熱が音を立てて弾け飛びそうだ。突起物の刺激に擦れ、彼は苦悶の表情を浮かべる。

「はっ………あ……ななし、ななし………!」

欲しさあまり一心不乱に腰を振り続け、最奥を穿つと勢い良く放たれる白濁液。締め付けにより更に搾り出され、堪らずえづく徐庶。

「ん、あ………。」

腕の力が弱まり、不覚にもななしの上に覆い被さってしまう。しかも胸板の辺りに彼女の熱い吐息がかかり

「んっ、駄目だ……ななし……また………。」

ぞくりと、身体が震える。一旦離れる為に抜こうと力を入れるが、抜いた後もそれは萎えずに雄々しくなっていた。

「徐庶さん………。」

ふと横を見ると届く範囲に彼が使用した機械が落ちている。

「あの、これ……。」

「あ、ああ……ネクタイ。」

ゆるゆるとネクタイがとれて両手が自由になると、すかさずそれを手に取り彼女は彼の反り立つそれに宛てがってスイッチを付けた。

「………っ、うわ!」

「……お返し、です。」

先端に固定された機械が強のまま激しく唸り、小刻みに刺激されると勢い余って顔を歪めた。

「ん………は、ぁ……っ!」

「貴方ばかり狡いですから、おあいこ。」

「ーーーっ」

果てたばかりなのにまだ敏感なようで、苦悶に満ちた声を出し、暫くして再び白濁液を床に散らせた。

「はぁ……はぁ………!」

息を切らせて汗を滲ませる姿に満足したななし。口端から溢れる彼の唾液を指で掬い取り、ぬるりと粘液に塗れた機械を取り外した。

「不意打ちなんて……酷いな……。」

「返品しようとしない徐庶さんがいけないんです。でも、嫌じゃなかったんでしょう?」

そう言えば彼は恥ずかしそうに押し黙ってしまう。その跳ねた髪の毛を犬を可愛がるようにワシャワシャと掻き乱せば擽ったそうに眉を八の字にした。










「そう言えば、徐庶さん本来は何を頼んでいたんですか。」

「え?ええと……肩コリをほぐす為の健康器具を頼んだつもりなんだけども……他の所へ行ってしまったのだろうか……。」

「コレ頼んだ人、困ってないといいですけど………。」

箱の中にある道具を見ると、前日の行為を思い出してしまい、触れられてもないのに刺激されているような気分になる。まるで変態だ、と考えを打ち消すようにななしは物置の中にしまおうとするが

「ななし。」

「…………や、まさかですよね。」

「一回きりなんて、勿体無いよ。」

「もう懲りごりです。絶対に使いません。」

ピシッと言い放てば、捨て犬のような目で見てくるではないか。しかしそれは通用しない。

「…………だって、徐庶さんの手の方が……好きですし。」

「ななし………!」

「ああもう!こんな暑い昼間からなんて事言わせるんですか!ちょっと出掛けてきます!」

俺も行くよ、という言葉を聞き流して玄関に行くが、一人で行くのは寂しいから、結局彼がいそいそ着替え終わるまで穏やかな笑みで待っていたななしだった。




(ええと、どこ行くんだい?)

(とっても涼しい所ですよ)