心頭滅却すれば

「ああ………参った。」

こんな猛暑の日に限ってクーラーが故障するなんて。

「法正さん、何処も修理を受けてくれません……。」

「………ちっ、どうにもならんな。」

修理屋に電話をするものの、今日中に直すのは不可能なようで、早くても三日後らしい。それまで扇風機一台で過ごせという難関なミッションを受けなければならないのだ。法正はこの上ない不機嫌な溜息をこぼし、氷の入ったコーヒーを一気に飲み干した。

「かと言って外なんか出たら店にたどり着く前に溶けそうだしな。」

「うーん、困りました……。」

「……………。」

この暑さに茹だる所為で、彼女の胸元はいつもより多く開けて谷間を覗かせている。それが嫌でも目に入ってしまう法正は、咳払いをして視線を壊れたクーラーへと移すが。

「暑い………いっそ脱ぎたい。」

「…………ななし。」

「はい?」

「まさかだとは思いますが、誘ってませんよね。」

「………っ……違いますよ!誰だってこの暑さに敵いません……っあ!」

法正は再び彼女に目を向けると、指で首筋に流れる汗を掬い取る。

「ふぅん、それにしては随分と面白い声を出しますね。」

「そ、それは法正さんがいきなり変な事をするから………!」

「別に首の汗を拭き取ってあげていただけですが。……ああ、俺に触られるのがそんなに嫌で。」

半ば閉じた目で薄っすら笑うと、むっとしたななしはそっぽを向く。

「…………本当に、意地悪です。」

「褒め言葉として受け取りますよ。ついでに、もっと貴女に意地悪したくなりましたし。」

悪戯に笑うと法正は胸辺りの服に指を下に引っ掛け、付けている下着を露わにさせればななしは恥ずかしさのあまり抵抗を始める。

「今日は水色か。」

「ち、ちょっと!」

「いいじゃないですか。…いっそそれも取っ払ってやるよ。」

と、力任せに下着を上にずらしては勢いに柔い胸を揺らす。そして隠す暇も与えずに大きな手で鷲掴みすると、そのまま解すようにぐるぐると形を変えた。

「あっ、や、だ………!」

「相変わらずデカいな。……いや、それもそうか、俺がそうさせたからな。」

触感を楽しむように何度も捏ね、時々硬くなる頂を指の間に挟んでは喘ぐ彼女の反応を見る。

「暑いのもいいかもしれませんね……こうして貴女は薄着で俺の事を誘ってくれるんですから。」

「ぅ……誘って、ませ………んっ!」

「あと、所々汗ばんでいると、余計に色っぽいですよ。」

そう言う法正も額に汗を滲ませて鎖骨まで流れる汗が色っぽい、為すがままのななしは思う。が、それを言ってしまえば余計に行為は加速しそうなので、ぐっと言葉を呑み込んだ。

しかし、そんな事は全てお見通し。

「……何か言いたそうですね。」

「………なに、も。」

「言わないと、こっちも攻めますが。」

空いている左の親指が下半身の下着の上から押されてギュっと圧迫すると、嫌でも分かってしまうのは既に感じている事。それを知った法正は三日月形に弧を描いてくつりと喉を鳴らす。

「……………っ…………。」

「ああ、攻める前から感じてるとは。」

纏う下着を掻い潜り、滑るように中に指を挿れれば中は熱くぬるりと粘液が厭らしく纏わる。更に奥へと入り込み敏感に感じる箇所に爪を引っ掛ると、その反動で中の締まる感触を存分に味わった。

「は、………あ………んぅ………。」

「ふ、俺を食い千切ってしまいそうですよ……。」

「だめっ、耳元で、言わない……で……!」

「ああ、耳が好きなのか。」

その直後、彼女の耳の穴にズブリと入る真っ赤な舌。ぴちゃぴちゃと音をさせて鼓膜に直に響かせると、更に膣が締まって未だ弄る指を圧迫した。

「ふ、ぁ……!」

「ん、そろそろか……?」

低い声を震わせて果ててしまえと指を突き上げれば、電流が走ったかのように身体を痙攣させて彼女は本日一度目の絶頂を見る。甘い刺激に頭を垂れ、頬は紅く染まり、薄っすら目に涙を浮かべている姿が、余計に犯したいという気持ちへと法正を誘わせた。

法正は己の胸板に凭れるななしの衣類を脱がせると、自分もシャツ等を脱ぎ捨てて風呂場へと運び込む。

「こうすれば早かったな。」

シャワーの蛇口を捻ると冷たい水が二人の頭の上に振りかかり、互いの火照った体温が少しずつ下がる。未だ余韻に浸り情の瞳を向けるななしの身体にボディーソープを塗りたくり、胸を揉みしだけば甘ったるい嬌声を漏らし、身体をあらゆる方向へくねらせた。

「気持ちいいか?」

「ん………っ………。」

そうか、と満足気に法正は笑む。先程弄った下腹部の方にも手で塗り込むめば、擽ったそうに法正の頬に手を宛てて、愛おしそうに瞳を覗き込んだ。

その仕草が抑える気持ちを駆り立てて、築き上げた理性が今にも壊れそうだった。

「あの………法正さん、も。」

と、不意に彼女の細い指で己の象徴に触れられ、ビクリと過敏な反応を見せるそれは、先の行為で既に粘液が滲み出て痛々しい程にそそり立つ。先端部分をそっと撫でられるだけで、熱は弾けてしまいそうだった。

「ななし…………。」

「苦しい、ですか……?」

「どうでしょう、ね。」

冷静に言葉を返せど下半身は実に素直で、今にも彼女の中を欲しがって暴発する。法正は深く息を吐くと、より一層目を鋭くさせて

「それ以上煽らないで頂きたい……貴女を抱くだけでは済まなくなりますよ。」

竿を扱くななしの指を止め、そのまま口付けを施す。口内を暴れ回る舌は逃げ惑う彼女の舌を犯し、淫靡に歯列をなぞり上げて、お互いの唾液を絡ませてが気持ちを昂ぶらせた。息を求める時間すら惜しいと、後頭部を押さえ込んでしっかり固定し、その隙に彼女の緩んだ中へと一気に根を押し上げる。

「んぅ………っ!」

「………ん、は………ななし………。」

ソープと溢れ出す粘液で潤滑しているとはいえ、それでも拒む狭い肉壁をギチギチと鈍い音をさせながら押し広げる。最奥へと辿り着いた事を確認すると、一旦キスを止めてななしの様子を伺う。

「まだ、痛いか。」

「…………平気、です………。」

向かい合うように抱き合い腰を打ち付ければ、風呂場に響き渡る喜悦の声と自然と振る細い腰。普段大人しめな彼女が見せないもう一つの姿に唆られながら、避けてしまいそうな程の穿つ衝撃を与える。

「あぁ……っ!」

「…………ん、く………っ。」

普段は余裕のある法正だが、この時ばかりは暑さにやられた為か、自分でも抑える事が出来ない位に理性は疎かになっていた。べっとりとへばり付いた前髪を無造作に掻き上げ、口の横を流れる汗を舌で舐めとると、最高潮に情欲的な表情を魅せる。

「私………っ、も………!」

「ああ、イッて…しまえ…!」

絶頂を迎えた身体は腹の底から嬉しい声を上げて、これまでとは比べ物にならない締め付けにより堪らず放たれる濃い白濁液。入りきらぬ液体は混じりながら太ももを伝って床へと流れ水と共に排水口へと落ちていく。シャワーで涼しくなっている筈なのだが、情交の所為でちっとも熱は冷めない。

しかし汗と水が混じった身体は逞しい肉体を更に美しく見せ、ななしは意識を朦朧とさせながらも眼前の彼に見惚れていた。

「………どうかしましたか。」

「………カッコイイな、って………。」

「………全く、貴女という人は、変な所で俺をやる気にさせるのが上手い。」

「…………法正、さん?」

「ああ、腰にきた。」

「え、待って……嘘、ですよね。」

「どうせ部屋に帰っても暑いですし、いっそここで良い汗流しましょうか。ねぇ、ななし……?」

悪人面で笑う法正に、ななしは違う汗を額に浮かべた。














「やっと直りました……!」

「ああ、やっぱりコイツがいないとな。」

あれから三日後、待ちに待った修理屋がやって来てクーラーを見事本来の姿に戻した。久しく味わえなかった涼しい風が頭上から来る度に嬉しい感動。

「うん……幸せ……これでもう暑さに悩まされなくて済みますね。」

「そうですねえ……涼しい所でやるのも悪くはありませんね。」

「…………ごめんなさい、今とんでもない事が聞こえた気がしたんですが。」

「とんでもない事?まさか、貴女が思っているような事は……しますが何か。」

「……………外行きましょう今すぐ!」

慌てて立ち上がった直後、後ろから腕を引かれて、

「逃がしませんよ。」

何か企んだ笑みを浮かべてる法正に、またまた腰を痛める事になると嘆くななしだった。




(どうです?涼しくて気持ちが良いでしょう)

(それ、違う意味ですよね…!)