背中の爪痕

「これ…痛くありませんか……ごめんなさい…
髪もぐちゃぐちゃ……」
「いえ、いいんですよ。
激しくしたらこうなるのは当然ですし
そもそも最初に爪を立ててもいいと言いましたし」
「でも………」

豪さんの背中の赤い線。
大切な人につけてしまった傷に動揺している私と
嬉しそうな豪さん。

「俺は誇りに思ってる。
男冥利に尽きるという言葉にぴったり当てはまりますね」
「そうなの…?」
「我を忘れるほど気持ちよくなって頂いたということでしょう?」
「………っ」

真っ赤になって俯くと、くすくすと豪さんが笑う。

「でもそうですね…そんなに気になるなら…
爪痕の場所にキスして?」
「え、えっ」
「お願いします」

一瞬戸惑ったが、すぐさま背中側へと回り
失礼しますと一言言って爪痕の場所へ口づけた。

「……」
「豪さん」
「もっと…」

幸せそうに笑う豪さんと、いっぱいいっぱいな中
暫く豪さんの背中の爪痕に口づける私の、朝の時間は長く続いた。