01:イマジネーション
「神崎」
さっき武田先生から預かった、と影山は入部届けを差し出した。
「今は仮入部として取り扱うけど一応提出してくれって」
「分かった。ありがとう」
すると丁度そこへ前席の藤本が登校してくる。
「おはよー。春菜、影山」
「おはよう彩ちゃん」
「はざす」
「―あれ?春菜部活やるの?」
「臨時のマネージャーだけどね。バレー部の」
休み時間に神崎が頻繁に勧誘されていた場面を藤本は思い浮かべる。その過程で神崎が実はバレー経験者であったことも知り“なぜ最初に打ち明けてくれなかったのだろうか”と疑問に思ったりもしたが、彼女がバレー部はおろかどこの部にも属さずバイトを優先させている現状に何か事情があるのかもしれないと結論付けていた。
「あ〜なるほど。春菜もとうとう根負けしたんだ?」
「根負けって言い方が正しいの分かんないけど」
「良かったね〜影山!しつこく粘った甲斐があって」
「しつこくなんかしてねぇ」
「うわ〜無自覚?」
「つか、谷地さんが神崎のこと説得してくれたおかげだ」
「谷地さんって、5組だっけ」
「おう」
「小さくて可愛い感じの子だよね」
「うん。花が咲いたみたいな笑顔が見ててほんと癒される。ね、影山くん」
「? そうか?」
影山の返答に苦笑したところで始業のチャイムが鳴り、3人は各々席に着いた。
***
「一年三組、神崎春菜です。個人的な事情で一先ず臨時マネージャーということで入部させてもらいましたが少しでも皆さんのお役に立てればと思ってます。よろしくお願いします」
「「「お願いシャス!!!」」」
初めて自己紹介をしてから、かれこれ一週間と数日が経過した。
『坂ノ下でバイトしてる子』という認識が2,3年生にもあったことが幸いし、彼らとも割とすんなり打ち解けることができた。
中途半端な形で彼らに関わってしまっていいのだろうか、と未だに自問自答する毎日だけれど“自身が必要とされている”と実感出来ることは素直に嬉しい。
「神崎。ちょっといいか」
「あ、はい」
鳥養に呼ばれ、澤村・西谷と共にホワイトボードの前でミーティングに参加し始めた彼女を後方から見つめるマネージャー二人。
どうやら様々な状況を想定したディグのポジションを話し合っているようだ。
「神崎さん、なんかかっこいい⋯!」
「確かセッターとリベロ、両方の経験があるって言ってたから春菜ちゃんの意見も参考にしたいんじゃないかな。ポジションの検討なんて私じゃ絶対出来ないから、経験者の彼女がちょっと羨ましい」
「そんなっ!わ、私なんて未だ何のお役にも立てず⋯!!」
「それは絶対ないから。そういえば、春菜ちゃんもこの前仁花ちゃんのこと褒めてたよ。『あんな素敵なポスター私じゃ絶対作れない』って。私もそう思う」
「なっ?!なんて恐れ多い⋯!」
あたふたしながら赤面して両手で顔を覆う仁花を潔子は微笑ましく見つめる。
「さて、私達も仕事しよっか。仁花ちゃんはビブスと得点版の用意お願いできる?」
「シャス!」
新たな青春ページは、まだ始まったばかり。
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2021/01/29
さっき武田先生から預かった、と影山は入部届けを差し出した。
「今は仮入部として取り扱うけど一応提出してくれって」
「分かった。ありがとう」
すると丁度そこへ前席の藤本が登校してくる。
「おはよー。春菜、影山」
「おはよう彩ちゃん」
「はざす」
「―あれ?春菜部活やるの?」
「臨時のマネージャーだけどね。バレー部の」
休み時間に神崎が頻繁に勧誘されていた場面を藤本は思い浮かべる。その過程で神崎が実はバレー経験者であったことも知り“なぜ最初に打ち明けてくれなかったのだろうか”と疑問に思ったりもしたが、彼女がバレー部はおろかどこの部にも属さずバイトを優先させている現状に何か事情があるのかもしれないと結論付けていた。
「あ〜なるほど。春菜もとうとう根負けしたんだ?」
「根負けって言い方が正しいの分かんないけど」
「良かったね〜影山!しつこく粘った甲斐があって」
「しつこくなんかしてねぇ」
「うわ〜無自覚?」
「つか、谷地さんが神崎のこと説得してくれたおかげだ」
「谷地さんって、5組だっけ」
「おう」
「小さくて可愛い感じの子だよね」
「うん。花が咲いたみたいな笑顔が見ててほんと癒される。ね、影山くん」
「? そうか?」
影山の返答に苦笑したところで始業のチャイムが鳴り、3人は各々席に着いた。
***
「一年三組、神崎春菜です。個人的な事情で一先ず臨時マネージャーということで入部させてもらいましたが少しでも皆さんのお役に立てればと思ってます。よろしくお願いします」
「「「お願いシャス!!!」」」
初めて自己紹介をしてから、かれこれ一週間と数日が経過した。
『坂ノ下でバイトしてる子』という認識が2,3年生にもあったことが幸いし、彼らとも割とすんなり打ち解けることができた。
中途半端な形で彼らに関わってしまっていいのだろうか、と未だに自問自答する毎日だけれど“自身が必要とされている”と実感出来ることは素直に嬉しい。
「神崎。ちょっといいか」
「あ、はい」
鳥養に呼ばれ、澤村・西谷と共にホワイトボードの前でミーティングに参加し始めた彼女を後方から見つめるマネージャー二人。
どうやら様々な状況を想定したディグのポジションを話し合っているようだ。
「神崎さん、なんかかっこいい⋯!」
「確かセッターとリベロ、両方の経験があるって言ってたから春菜ちゃんの意見も参考にしたいんじゃないかな。ポジションの検討なんて私じゃ絶対出来ないから、経験者の彼女がちょっと羨ましい」
「そんなっ!わ、私なんて未だ何のお役にも立てず⋯!!」
「それは絶対ないから。そういえば、春菜ちゃんもこの前仁花ちゃんのこと褒めてたよ。『あんな素敵なポスター私じゃ絶対作れない』って。私もそう思う」
「なっ?!なんて恐れ多い⋯!」
あたふたしながら赤面して両手で顔を覆う仁花を潔子は微笑ましく見つめる。
「さて、私達も仕事しよっか。仁花ちゃんはビブスと得点版の用意お願いできる?」
「シャス!」
新たな青春ページは、まだ始まったばかり。
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