06:Working woman
その後は雑談を交わすこともなく、二人はいつも通り集中してハードな練習をこなした。そしてそれが終わると自主練習を開始する。ジャンプサーブを打ち始めた影山を見て、日向は思い出したかのように先程の話題を口にした。
「―あ、でも神崎さんサーブはフツーだったな。それにあのトスの後『自分でもびっくりした』って言ってた気がする」
「なら完全マグレじゃねーか」
「でもでもっ!マグレの一言で片付けらんない感じがしたんだよ〜。なんつーかこう⋯サッ!シュッ⋯とふっ、ポーン!みたいな」
「トスっつったら大体そんなもんだろ。つか、自分 が下手くそだから多少なりまともに捌けたボールは全部上手く見えてるだけじゃねーのか」
「ぐぬっ、、それは違う!と断言できねーのが悔しい⋯」
***
「春菜おはよー」
「おはよう彩ちゃん」
「昨日はお疲れ〜。っていうか、毎日レクならいいのにって思わない?」
「授業受けなくていいもんね」
「それ!あんな天国を味わうと通常授業が地獄に感じる⋯」
確かにな、と隣席で頬杖をつきぼんやり窓の外を見ていた影山は欠伸をしながら心中で相槌を打つ。
「そういえば、春菜って何か部活はやらないの?」
昨日日向と交わしていたタイムリーな話題に、影山は無意識に聞き耳を立てる。
「うーん⋯特に今は考えてないかなぁ」
「ダンス部はいつでも大歓迎だよ?皆で楽しくやってるから気が向いたら見学においでよ」
「ダンスかぁ。楽しそうだけど⋯勉強にもそれなりについていけてる今のうちにちょっとバイトしようかな、とか考えたりもしてるから」
「あれ?うちの学校ってバイトオッケーだっけ??」
「え、バイトって禁止なの?」
「分かんない。まぁ仮に禁止でもこっそりやってる人は結構いると思うけど」
「それもそうだね」
部活動にあまり興味を示さないその態度に影山もすぐに興が削がれ、いつの間にか机に伏していた。
***
通帳をパラパラと捲り残高を確認する。
家賃、学費、その他最低限必要な生活費はとんだご都合主義で自動的に口座へ振り込まれている。おかげで日常生活には今のところ何の支障もないけれど、自らの欲求を満たすような事を頻繁に重ねていくのは厳しい⋯といった具合である。
(学校帰りに友達とお茶したり偶に遊びに行ったりは問題なさそうだけど、常にお金の心配しながら生活するのはやだなぁ⋯)
自身で収入を得るようになってからは毎月の固定費は除き、誰の顔色を伺うこともなく好き勝手していた訳で。
ある時はリサイクルショップで学生時代気になっていた漫画を一気に大人買いしたり、またある時は仕事がハードだった日に頑張った自分へのご褒美として少々リッチな外食をしたり⋯などとにかく自由を満喫していたのだ。今更学生基準のお小遣い程度でこの先満足できるなんて到底思えない。
更にいえば、ただ学校に通っているだけというのも何だか落ち着かない。“働く”ということが当たり前の感覚としてすっかり定着してしまったのだろうと思う。
(明日、散策ついでにバイト募集してるお店を探してみよう)
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2020/05/24
「―あ、でも神崎さんサーブはフツーだったな。それにあのトスの後『自分でもびっくりした』って言ってた気がする」
「なら完全マグレじゃねーか」
「でもでもっ!マグレの一言で片付けらんない感じがしたんだよ〜。なんつーかこう⋯サッ!シュッ⋯とふっ、ポーン!みたいな」
「トスっつったら大体そんなもんだろ。つか、
「ぐぬっ、、それは違う!と断言できねーのが悔しい⋯」
***
「春菜おはよー」
「おはよう彩ちゃん」
「昨日はお疲れ〜。っていうか、毎日レクならいいのにって思わない?」
「授業受けなくていいもんね」
「それ!あんな天国を味わうと通常授業が地獄に感じる⋯」
確かにな、と隣席で頬杖をつきぼんやり窓の外を見ていた影山は欠伸をしながら心中で相槌を打つ。
「そういえば、春菜って何か部活はやらないの?」
昨日日向と交わしていたタイムリーな話題に、影山は無意識に聞き耳を立てる。
「うーん⋯特に今は考えてないかなぁ」
「ダンス部はいつでも大歓迎だよ?皆で楽しくやってるから気が向いたら見学においでよ」
「ダンスかぁ。楽しそうだけど⋯勉強にもそれなりについていけてる今のうちにちょっとバイトしようかな、とか考えたりもしてるから」
「あれ?うちの学校ってバイトオッケーだっけ??」
「え、バイトって禁止なの?」
「分かんない。まぁ仮に禁止でもこっそりやってる人は結構いると思うけど」
「それもそうだね」
部活動にあまり興味を示さないその態度に影山もすぐに興が削がれ、いつの間にか机に伏していた。
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通帳をパラパラと捲り残高を確認する。
家賃、学費、その他最低限必要な生活費はとんだご都合主義で自動的に口座へ振り込まれている。おかげで日常生活には今のところ何の支障もないけれど、自らの欲求を満たすような事を頻繁に重ねていくのは厳しい⋯といった具合である。
(学校帰りに友達とお茶したり偶に遊びに行ったりは問題なさそうだけど、常にお金の心配しながら生活するのはやだなぁ⋯)
自身で収入を得るようになってからは毎月の固定費は除き、誰の顔色を伺うこともなく好き勝手していた訳で。
ある時はリサイクルショップで学生時代気になっていた漫画を一気に大人買いしたり、またある時は仕事がハードだった日に頑張った自分へのご褒美として少々リッチな外食をしたり⋯などとにかく自由を満喫していたのだ。今更学生基準のお小遣い程度でこの先満足できるなんて到底思えない。
更にいえば、ただ学校に通っているだけというのも何だか落ち着かない。“働く”ということが当たり前の感覚としてすっかり定着してしまったのだろうと思う。
(明日、散策ついでにバイト募集してるお店を探してみよう)
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