03:Dead or Alive

そんな形相で睨まれても私だって俄かには信じられない。
どれだけ検索してもコナンに関連する記述も著作も何一つヒットしなかったのだから。

結果、彼に嘘吐き・妄言癖のレッテルを貼られ再び命の危険に曝される羽目になってしまった。けれど私が知る限りの組織に関すること(その場面に立ち会っていなければ知り得る筈のない事柄等)や組織仲間の名を口にしてみると、流石に“只の妄言”で片づけることは出来ないと判断されたようで。おかげで2度目の命の危機も何とか乗り越えられた。

因みに私自身は特別コナンが好き、という訳ではない。子供の頃からアニメやコミックを見たことがあり登場人物・概ねの本筋は理解しているといったレベル。とはいえ原作は所持していないし、昨日見た映画も大学時代から付き合いのある友人に誘われて偶々劇場まで足を運んだに過ぎない。
記念すべき劇場版20作目ということでストーリーも組織やFBI絡みで予想以上に楽しめたけど、決して特定のキャラクターにのめり込んだりはしていない。映画の影響で爆発的に人気になっているというFBIの赤井やバーボンこと、安室透も然り。当然、目の前の銀髪男も例外ではない。

「お前の話が嘘か真か…それはもうこの際どうでもいい」
「ですね。信じろといっても現に何一つ証拠を提示できない状況なのでその件については私も諦めてます」
「……」
「今考えていることはあなたに早く元居た所へ帰ってもらいたい、ただそれだけです」
「解決策に関して何か心当たりはねぇのか…」
「知りませんよ。そっちこそ、何か思い当たる事は無いんですか」
「フン…知るか」

途中で負傷したものの何とか最後まで任務を遂行し自身のセーフハウスで休んでいて次に目が覚めたら此処に居た、と彼は言った。

…ん?待って。
今『途中で負傷した』って言ったよね?もしや、怪我は現在進行形??

「あのー、」
「なんだ」
「今も怪我は完治してないんですか」
「負ったばかりの傷がそんな簡単に治るかよ」
「大丈夫ですか?」
「脇腹に弾を一発食らっただけだ…大したことはない」
「それは大したことあるでしょう!?」
「すでに処置は施してある」
「処置って、縫ったり…とか?」
「ああ」

まるで何でもない事のように平然と言ってのけているが、相当痛むんじゃないだろうか。それにしても怪我してる状態であの動きって…あなたはサイボーグですか。

「T-800というよりはT-1000って感じ?スラッとしてて執念深そうな所とか」
「あ?何言ってやがる」

まずい、声に出てた。

「―いいえ何でも。兎にも角にも、此処が私の自宅である事は紛れもない事実なんで夕食とお風呂を済ませたいんですが。明日も仕事があるので」
「……」
「あなたも怪我してるなら一先ず今夜は此処で休んで下さい。目が覚めたら元の場所に、という事だって有り得るかもしれませんよ」
「お前は自分に危害を加えた相手に一晩宿を提供するつもりか」

更に付け加えるなら俺は男だぜ…?と。

「なら言わせて貰いますけど此処を出たとして何処か行く当てでもあるんですか?」
「……」
「その様子じゃ、お金だって持ってないんでしょう?」

ジンというキャラクターの装いは確か黒いトレンチコート+帽子が定番のスタイルだった気がする。けれど目の前の彼はスラックスにタートルネック着用という恰好。そりゃあ部屋の中でコートや帽子を身に付けたままでいる人なんて普通に考えたらいないだろうし、怪我をして休んでいたのなら尚更合点はいく。

「チッ…好きにしろ…」
「ええ。言われなくともそうします」
「だが僅かでも妙な真似をしてみろ…すぐに殺し「はいはい分かりました」

ひらひらと手を振って早速浴室に向かう。脅し文句を途中で遮られた挙句、適当にあしらわれたと思った彼はこの上なく不機嫌そうにしていたけれど…そんなの、知ったこっちゃない。

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お題配布元:fynch
2016/6/16