*小説 info アネモネ


蕩けた蒼色 〜快楽の一線〜

夜、早々に旅館の布団を引いて、早めに電気を消した。
枕元には小さなローションとゴムの入った袋を分かりにくいようにそっと置いて、気持ちは焦っていたけれど、多分蒼音───あおも同じ気持ちだと思う、今度こそ。
「おやすみ……おいで」
俺は先に布団に入って呼びかけると、あおはそっと隣に入ってきてくれた。
キスもハグもさっき散々したのに、そのままぎゅっとあおを抱きしめて頭を撫でた。
「茜さん…」
上目遣いで擦り寄ってきてくれる姿が可愛い。
やっと俺のものになったんだ。
そう思うと、なんとも言えない達成感と感動でより強く抱きしめた。
そのまま腕の中のあおと視線を合わせる。
「俺がタチでいい?それとも…したい?」
一応問いかけてみた。どちらでも対応できるけれど、なんとなくあお相手だったら俺が抱くのかなと思っていた。
あおは俺の顔を見て少し悩んだあと、溶けたように笑った。
「茜さんにされたいです。…沢山愛してください」
「…っ」
その表情がとても色っぽくて、俺は思わずあおに覆い被さり押し倒したが、さっきから余裕がなさすぎだと思ってキスは我慢した。
そうして、あおのトレードマークの青いメッシュを指でそっと横に流し、耳元で囁いた。
「お望み通りにしてやるよ…あお」
「…!」
あだ名で呼んであげると、びくっと体を震わせて瞳をうるうるさせている。
右手でそっとその細い腰をなぞった。
「茜…さん…」
「さんはいらない」
あおの顔を見つめながらそう言って、指を浴衣の下へと滑り込ませていく。
あの時と同じだ。前に拒否されたあの時と。
「あ……茜…っ」
手を滑らせて下着の上からそこに触れると、分かりやすいぐらいに熱を持って硬くなっていた。
「へぇ…もうこんなにしてるんだ?」
意地悪な声色でくすっと笑いながらそこを少し刺激してあげると、気持ち良さそうにあおが目を瞑った。
「だって茜さ…ぁ、茜と、やっと…こういうこと、するから…」
「こういう事って?」
囁きながら手のひら全体で局部をそっとなぞる。
「ぁ…えっちな、こと…」
「…かわいい」
本心でそう言ってあげると、顔を真っ赤にしたまま、びくっと局部が反応する。
「へぇ…可愛いって言われてイケるタイプ?」
「ち、ちがっ…」
違うと言いながらもびくびくと体を震わせながら、あおは腕で自分の目を隠してしまった。
そこから覗いている唇にちゅっとキスをして腕を上にどけてあげながら笑う。
自分に自信のない子には、沢山沢山可愛いと言ってあげればいい。
「その可愛い顔、ちゃんと見せろよ」
「〜〜っ」
いよいよ目許に涙を浮かべながら、あおは見たことないぐらい恥ずかしそうに真っ赤になって体を快感に震わせた。
そそられるなと思いながら体に触れて弄んだ。
「茜、さ」
「茜だろ」
「ぁ…茜ぇ…意地悪、だ…」
「でもちゃんと感じてるんだろ?俺の言葉で」
そう囁いて体を撫でてあげると、あおはびくびくと快感に耐えている。
「ほら、早く強請って」
でないとこっちも限界だよ。
本当に、お前がそんな可愛い反応するなんて思ってなかったから。
「茜…もっと、いっぱい…触って…」
恥ずかしそうに、それでも物欲しそうな顔で強請るあおに、初めてだし今日はそれで許してあげようと、そのまま下着を脱がせてクチュッと鬼頭に指で触れた。
「ひぁっ…」
喘ぐ声に欲を煽られながら、しっとり濡れているそこを手のひらで上下する。
枕元からローションを手にとって屹立を濡らしてやると、明らかに感度が良くなったみたいで声を漏らし始めた。
「んっ、あっ……なに、それ…ローション、きもち、い…っあ、茜…やだ…あっ…!」
「気持ちいい…?声すごいよ」
頷くあおの唇を塞いでそのままピストンを早める。
舌を絡め刺激を与えながら、恥ずかしそうにしているあおの目を見つめた。
「ん…ふ、ぅ……んぅ…ぁ…」
今にも張り詰めそうなそこの先端を更に限界まで弄んであげると、明らかに気持ち良さそうな声を上げながらあおの体がびくびくと仰け反った。
「まだイくなよ?」
「ぅ…ふぁ」
だらしなく口を開けて蕩けた目でこちらを見ているあおは非常に可愛い。
するばかりで張り詰めているので、そろそろこちらも気持ちよくしてほしい。
「あお…俺の舐めれるか?」
「ん……はい」
座って呼び掛けると半ば吸い寄せられるみたいにあおが俺の局部に顔を寄せてきた。
そのまま下着を下ろされると、屹立が露わになった。
「ぅ、わ…茜さんの…おっきい…」
手のひらを添えながら、愛しいものを見るように顔を寄せてそう言ったあおは見かけによらずとてもえろかった。
「よく言われる」
「でも、これからは、俺のだから…んっ」
恍惚とした表情で、じゅぶっと口全体に鬼頭を含まれる。
その口の熱さと舌の気持ち良さに思わずびくっと反応した。
「んっ…ふ…ぅん…あかね…」
ちゅぷちゅぷと音を立てながら屹立を口の中に含んでいく。
その姿が予想以上に扇情的で、俺はより自分のものが嵩を増すのを感じた。
「あお…エロいじゃん…」
「ほんとですか…?んっ…うれし…あかね…すき…」
ちゅうっとそこを吸って舌で愛撫しながらあおは手を上下させた。
ああ、零衣にこういう風に調教されたんだろうかと思うと何となく嫉妬心が湧く。
いつも事あるごとに双子の零衣の存在をセットで思い出してしまうのは、きっと悪い癖だろう。
俺ですらそう思うんだから、あおも思い出したりしているんじゃないだろうかと、少し可哀想…というよりは不安になった。
「上手だよ…ほら、交代」
頭を撫でてあげながら、名残惜しいが口を離させると、今度はあおを寝転ばせた。
膝を割って思いっきり開脚させると、あおは恥ずかしそうに期待した目で息を荒げていた。
「はぁ…はぁ…。…茜…?」
「お返し」
そう言うと、あおの竿を舌でなぞってあげてから、その先端を口に含んだ。
俺の愛撫で一々びくびくと反応する様が可愛い。
「やっ…あ、茜…ぁんっ!…それ、すっごい、変、やらっ…」
「ん?…変?何が?」
「だって、気持ち、よすぎて…あっ…うぁぁ…っ!」
今にもイきそうなあおの根元をわざと強く握って、気持ちのいいフェラをしてあげると、身をよじる様にしてあおが声を上げる。
「ああ〜…!だめっ…だめ…そこっ…いい…」
ローションを手に取ってたっぷりと後ろを濡らして指を入れながら、耳元に顔を寄せて囁いた。
「随分快感に弱いんだな、あお」
「ぅ…う、だって…茜さんが…茜がぁ…ぐすっ…うますぎるんだもん…うぅ…」
「泣くなよ」
唆られる表情にキスをしてあげながら後孔をぐちゅぐちゅと弄った。
あおは大粒の涙を零しながら、背中に腕を回して快感を受け入れている。
ああ、限界だな。早くもっと泣かせたい。
そんなことを思って、言ってることと真逆だなと内心で少し笑った。
何故かあおとこうしていると、加虐心を唆られる。
その反応ごと全部まとめて愛して俺のものにしたい。
そういう風に考えていると、自然と浅い息を吐いて笑っていた。
「?…あか、ね…あぁっ…!!」
あおの反応を待たずにあおの中に一気に自分の物を突っ込んだ。
狭いのにきゅうっと中は喜んだ様に締め付けてきて凄く気持ちいい。
「はぁ…やっと入ったな…」
「茜…ぅあっ…?!ぁんっ!!やっ…あぁ…っ!」
馴染ませる余裕もないぐらいに、ずぶずぶと何度もピストンすると、信じられないぐらいの快感が襲ってくる。
「あぁっ…うぁッ…う…すご…おっき…やだぁ… 」
ビクビク反応しているあおにパンパンと音が鳴るぐらいに腰を打ち付ける。
段々馴染んできたのか、明らかにあおの反応が歓喜の色を含んだものに変わっていた。
「あぁ…あっ…すごいぃ…きもち、ぃ…んっ…!!」
中を締め付けながら、女の子みたいに声を上げるあおを抱き締めて、より奥を突いて上げるともっと気持ち良さそうにぎゅうっと抱き締め返してきた。
「俺も気持ちいいよ…あお、愛してる」
「!…お、おれも…おれもぉ…あいしてる、からぁ…」
舌足らずに愛し返してくれるあおに優しくちゅっと口付けをしてから、よりピストンを激しいものにした。
「ん…イくよ…いい?」
「ふぁっ…あ、きて、きて…あかね…あぁぁっ…!!」
「…っ!」
強い締め付けと共にびゅっとお互いの熱が弾けた。
そのままぎゅうっと互いに抱き締めて、息も整わないまま自然と貪る様なキスをする。
それに反応してまた中がびくびくと震えた。
「ん…」
「ふ、ぅ…あ…はぁ…」
唇を離すと唾液がツーっとお互いの間を伝った。
「可愛いよ」
そう言って頭を優しく撫でてあげると、あおは必死に求めるみたいな目で見つめ返して抱き締めてくれた。
「茜…好き…」
それがなんだか、必死に応えようと頑張っているみたいに見えて、俺はぽんぽんと頭を撫でた。
「心配しなくても側にいるから大丈夫だよ。捨てたりしない。そのままでいいから、無理しないで」
「ほんとですか…?本当に、ほんと、ですか…?」
小動物みたいな不安そうな目で見てくるあおをじっと見つめ返して真剣な声色で言った。
「安心しろ。お前が不安になる隙もないぐらい、俺はお前に惚れてんだよ」
「ぅわぁぁ…ぐすっ……うん…」
それを聞いて、あおはぼろぼろと泣き出してしまった。
そんなに不安だったのかと思いながら、あおを抱き締めて頭をよしよしと撫でてあげた。
「安心しろ」
「うん…」
あおに頬を寄せると甘える様に擦り寄せ返してくる。
「好きだよ、あお」
「…俺の、好きなとこ、言って下さい」
「全部」
ほんとにメンヘラみたいで可愛いなと思いながらあおに即答する。
「全部じゃやだ…一個一個言って下さい…」
「もう…。顔だろ、不器用なとこ、謎の敬語、時々兄なとこ、甘えたなとこ、笑うと可愛いとこ、職人気質なとこ…それから、えっちで感じやすいとこと、泣き虫なところも追加で」
「あ…ぁ…」
言わせておいて言われると褒められ慣れてないのか、あおは真っ赤になってわたわたしていてそれが無駄に可愛かった。
しばらく俺の腕の中でじたばたしていると、あおがおずおずと口を開いた。
「おれって、あの、その…泣き虫、ですか…?」
「そうだろ。今も泣いてたくせに」
「あのっ…俺……」
少し言葉に詰まったようなあおをあやしながら、続く言葉を待った。
「俺、れーさん、任せで…上手く…泣けなかったから…茜の前で…泣けてるなら…っ」
そこであおはぎゅっと俺を抱き締めて、しばらくして小声で、嬉しい…と呟いた。
そんな姿が愛しくて、抱き締めて頭を撫でてあげながら、何があっても守りたいと思った。
「何があっても1人にしない」
「うん…」
そう言うと少し泣きながらあおがぎゅっとしてくれたので抱き締め返してじっとしていた。
再び、味わったことがないような幸福感が襲ってきて、満たされていく感覚だった。
「俺も…茜のこと、大好き…」
「うん…」
あおの言葉に自然と微笑みが溢れた。
「茜は…えっち、上手すぎます…それに、意地悪です…」
「まぁ、経験の差ってやつ?俺はいつもはもっと丁寧で優しいんだよ…ただ、好きな奴にはさ、意地悪したくなるから」
「そんな小学生みたいなこと言わないで下さい…ズルいです」
拗ねて顔を逸らすあおの頬を突いてあげると、すぐにこちらを見て恥ずかしそうな反応をした。
「ごめんな…やっと出来たから、嬉しくて焦っちゃった。今度は丁寧に丁寧にしてあげるよ、な?」
「ぅ…それはそれで、怖いですけど…」
それでも、体をよしよしと撫でてあげるとあおは嬉しそうに擦り寄ってきた。
手を滑らせて触れていなかった乳首を優しくつまむと、あおはぴくっと反応した。
「ここはまだそんなに感じない?」
「そんな、ことは…」
「まだまだって感じだね…俺がもっと、全身感じるように調教してあげるよ」
「ぁ……」
そう言うと、あおはなんとも言えない恥ずかしそうな表情で顔を真っ赤にさせていた。
「ふふ、俺に調教される覚悟はある?」
「…そしたらもっと、茜好みになれますか…?」
「うん、今でも十分俺好みだけど、もっと、好みになると思うよ?」
そう言うとあおは恥ずかしさと嬉しさが混ざったような表情を俺に向けた。
「じゃあ…沢山、調教して下さい…もっと俺に、えっちなこといっぱい、茜が教えて下さい…」
そう言って欲情したように笑ったあおに性欲を煽られて、勃ってしまった自分のものとあおのものを少し触れあわせた。
「…っ」
「俺が、ご主人様って呼ばせるぐらいいいプレイしてやるよ」
「あっ……ご主人様…?それ…いい…すっごい興奮する…あっ!」
そんな反応をしたあおと自分のものをまとめて握った。
「変態」
「〜〜…っ」
囁いてあげるとびくびくと体を震わせ、そのまま俺に熱を帯びた視線を寄越した。
「茜ぇ……下さい……」
そんなあおの反応がどこまでも煽情的で、俺は唇を塞いで手を動かし始める。
俺とあおの秘密の関係はこうして始まったのだった。