彼女の終わりと最果ての先


 世界が終わる前、天の川がふたつ見えるようになるんだって。
 深刻さなんて欠片もない鳩原の言葉と同じくへらへらした声で、こわいね、というと、そうかなあ、と脳天気な声が返る。
「世界が終わるんだとしても、天の川がふたつの綺麗な夜空を見られるのなら、それはそれで悪くはないよね。ただ世界が終わるだけよりずっと」
 振り返ってにへ、と笑う鳩原の顔は夜空に映えて、笑んで細めた瞳は星の光を湛えてきらきらひかっていた。そんな彼女が消えてからも世界は何もかわらなくって、両の人差し指と親指で夜空を切り取るように見上げる。

「なんでだろう」

 彼女を欠いた世界は、それでも天の川はひとつしかみえない。そろそろ二つになってもいい頃合いじゃないのかなあとうそぶいて、はやく世界が終わればいいとひとごとみたいに無責任にねがう。


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