黒尾
「バレー部のマネージャー、どう?」「いや」「なんで!」黒尾くんは度々こうして私をマネージャーへと誘ってくる。「他の人当たって」とあしらっても「なんで!」と食い下がる。「マネージャーになったらゲームする時間が短くなるから」と口では言うものの正直マネージャーになる覚悟がない。遠征とか大変そうだし。だからもう何言われても絶対無理!って強く言えたらとは思うが、なにぶんこの男に片想い中なので今のこれが精一杯だ。「研磨みたいなこと言うなよ」180センチはゆうに超えているであろう彼が、私の机の前に小さくしゃがんで頼み込んでくる。上目遣いで手を合わせ「夏の間だけでも、な?」と。ギャップやめてくれ。そもそもどうしてそんなにマネージャーに拘るのかわからない。私だってもう三年生で来年があるわけでもない。二年生以下を誘った方が余程建設的だろうとも思う。「……じゃあ、なんで二年生とかじゃなくて私なの?」「えっ」すーっと視線が横へと逸れる。……なにその反応、もしかしてすごい面倒ごとを押し付ける気だったのかと勘ぐってしまう。「えーっと……俺がきみに応援してもらいたい……っていう不純な動機じゃダメですか」なんて少し照れながらそう口にする彼を見て、予想外の答えに口をはくはくさせることしかできなかった。
及川
「マネージャーやりたい!」「ダメダメダメダメぜーったいダメ!」「なんで、マネージャーひとりいたら少しは楽になるでしょ。欲しいなって言ってたじゃん」「きみは無理」「きみは無理!?」思わず復唱してしまった。そこまではっきり断られると流石の私だって傷つく。きみは無理って何、じゃあ他の子だったらいいのかって。確かに徹のバレーしてる姿近くで見れたらとか、少し……いや大分邪なこと考えてるけど。仕事は仕事でしっかりやるのに、そんなに信用ないのか。彼女だぞ。