寒くて布団から出たくないと我儘を言う彼女◎

二口
「ほら遅刻すんぞ」「うーん……さむっ!」堅治に起こされ布団から顔を出すと思っていたよりも冷える。「寒くて布団から出られない」とまた丸ごと布団の中へと戻った。こんなに寒いなら出たくない、手だけ伸ばして取ったスマホを見てもギリセーフだ。「出てこないの?」「まだ大丈夫」「ふーん。まあ俺は今日休みだからいいけど」「羨まし……え、なに」もぞもぞと布団に潜り込み、彼は正面から私をすっぽり抱きしめる。そうするやいなや、するりとスウェットの下から彼の手が侵入し迷いなく膨らみへと伸びた。「ちょ、待っ……」「いいじゃん、ギリギリまで俺とゆっくりしよーよ」なんて口端をあげる彼を見て早く布団から出なかったことを後悔した。



黒尾
「起きる時間ですよおー」「おはよ……さむ!」鉄朗の声で目が覚め、ゆるりと上半身を起こしたが寒さに負けてまた布団を被った。「ご飯もできてますけど」「うん……わかってるけど寒すぎ」「今日は特に冷えるらしいからな」布団から顔だけ出すと、鉄朗はベッドサイドに座り「ほら」と現在の気温の画面をこちらに向ける。「この寒さの中ご飯作ってくれてありがとう……。もうここで食べたいくらい」「いいよ」「え?」冗談で言ったのにベッドが揺れドアが開いた音がした。間もなくして彼が作った朝食がお盆に乗せられ運ばれてくる。「はい起きて。背中にブランケットかければ寒くないでしょ」「……甘やかしすぎよくない!鉄朗いないと生きていけなくなっちゃうから……明日はちゃんと起きる」「残念、そうなってほしいのに」なんて笑う彼の言葉は冗談なのか本気なのかわからなかった。




「いい加減起きなや」「んー」「早うせい!」「はっ!?さむいんだけど!」布団をベッドの下へ投げ捨てられ、ぬくもりが一気に吸い取られる。なんだ今日は、ありえん寒いが。「ほらもう掛ける布団もあらへんし起き」「侑いじわるだあ!」「なに言うてん優しさ……ちょっ」侑の腕を引っ張り自分の胸へと抱え込む。布団がなくても筋肉がある分あったかい。ちょっと硬いけど。大人しくなったのをいいことに「もう少しだけ……」と目を閉じた。その瞬間に服の上から胸を甘噛みされたような感覚に驚き、侑を引きはがそうとしてもびくともしない。「ちょ、やめっ」「なんで?こんなんみすみす逃すわけないやん。すぐ起きんかったのを後悔するんやな」そう言って胸へと顔を埋める彼に抵抗はできなかった。




「もう結構ええ時間やで」「うん……」「起きんとバタつくやろ」「ふあーい……」早起きの信介に声をかけられ、起き上がるといつもよりも空気が冷たい。「さむっ」時計を確認してまだ大丈夫かともう一度布団に戻った。「また布団に戻ったんか」「寒くて布団が離してくれない。もう少しだけ」またそのあたたかさに包まれ意思とは関係なく瞼が落ちる。* * *「……えっ!?」いつも念のために鳴らしているアラームの音に青くなって飛び起きた。聞こえてきたのは最終防衛ライン、出勤十五分前のアラームで慌てて着替えキッチンへと向かった。「おはよう」「おはよ……って、時間やばい!時間ないよって起こしてよぉ」「起こそう思うたけど、甘やかしすぎんのもようないな思うてん」なんて朝からど正論を食らう。「身だしなみ整えとる間にすぐ摘まめるもんあっためとくから早よ準備してき」なんて言う優しい彼に抱き付いた。「早よ準備せい」飴と鞭が上手い。