うとうとする彼女

研磨
「じゃあまた次の配信で」ぷつりと配信画面を切り、背中を伸ばす。時間を確認すればもう少しで一時になるところだった。何か飲んでから寝ようかと台所へ向かおうとすれば居間にまだ明かりがついている。「ねぇ、まだ起きて―……」ドアを開ければこたつに体重を預け、こっくりこっくりしている彼女の姿。ギリギリ手に収まっているスマホには、真っ暗になったおれの配信画面が映っていた。一緒に住んでるんだから配信まで見なくてもいいのに、なんて思いながら「ほら、寝るよ」と彼女の肩をゆっくりと揺する。「んーおわたの」目を瞑ったままそう口にしていて、もう寝てるのか起きているのかわからない。ゆらゆらと揺れる彼女が可愛くて思わず小さく声がもれた。ちょっと揶揄いたくなって「あ、よだれ」と言えば、はっとしたように目を開けて慌てて口元を拭っている。「うそだよ」「……っ、ちょっと研磨!」「ふっ、ごめん。なんか可愛くて」ころころ変わる彼女の表情を見ていると全然飽きなくて、おれまで釣られて笑ってしまう。「……そんなこと言われたらさあ、怒れないじゃん」「うん、知ってる」なんて口にすれば、彼女は「これが……惚れた弱みか」とおれに寄りかかってきた。惚れた弱み……まあそれはきみだけじゃないんだけどね。と、口には出さず彼女の髪を撫でた。