きみの顔が見えてよかった

「晴、早く早く!」
「待ってよお」

久しぶりのデートに年甲斐もなくはしゃいでしまう。
今日はある池のボートに乗ろうと約束をしていた。少し大きめのボートが術式で動くため、転覆の心配もなければ手や足で漕がなくてもいいと話題になっていたスポット。魔の出現が多い時はいくことが叶わなかったけれど、最近浄化されまた話題にのぼっているのを見かけて晴と来てみた。
もう何組かはボートに乗っていて、残るは二艇のみ。池の淵にあるボートまで駆け寄り「これに乗ろうよ、晴の色!」と、くるりと振り向いて彼に手を振った。

「え?」
「……っ、〇〇!」

晴が声を上げるよりも先にヒヤリとした感触が足首を這う。視線を落とした時にはもう遅くて、あっけなく池へ引き摺り込まれた。



池の淵で魔に足を取られ、護身用の札も間に合わずに池に引きずり込まれる
起きた時には視界がぼやけていてはっきりと物が見えない