きみのあじ


初めてのキス、キスの味はレモンとかそこら辺の雑誌やたまたまつけっぱなしのテレビで流れた気がするが実際はそうでもなかった。さっきまで飲んでたコーヒーの味がした、しかもブラックの味。口の中で苦くてたまらなかった。普段甘いコーヒーしか飲まないアリアはその味には慣れてなかった。
唇が重なり、お互い最初は触れ合うだけで満たされていた。だが二人は盛んな高校生、触れ合うだけでは満足できずに絡み、溶け合うかのようにお互いを求めていた。最初こそ怯えていたアリアにそっと優しく教え込むように促していた蓮だが、そろそろ息が持たないと察したのか名残惜しそうに離れていく。
息を切らして潤む目、顔を真っ赤にしながらアリアは蓮を見ていた。息継ぎができなかったアリアは息を整えふぅ、とはくと言葉を紡いだ。
「蓮の味、コーヒーの苦味があって口の中が苦い」
んぇ〜と口が苦そうな顔をすると蓮はそれを見て苦笑いをした。先ほどまで飲んでたものが口の中に残っていたのだろう。その反応が可愛くてクスリと笑うとアリアもそれに気づいてヘタクソな笑顔で返した。
「それで、僕のはどんな味がしたの?」
さっきとは違って少しイタズラっぽい笑顔で言う。純粋に気になるのと、自分は教えたんだから教えてほしいのだろう。
最近のアリアは会った当初より感情をよく出し、言葉で伝えるようにしている。小さな成長だがそれでも嬉しい、前まではそんな風に変わるとは誰も予想はできなかったからだ。
慈しむように見ていると早く答えてほしいと今か今かと蓮が喋るのをまつ。
「カフェオレの甘い味がした」
言葉にすると恥ずかしくなる。それを平然と伝えてくるアリアが少しだけだが凄いと感心した。
蓮からの答えを聞いて満足そうにする。手を絡ませ体を近寄らせる。これは明らかに顔が近い、鼻の先端が当たりそうになる、お互いの息の音が聞こえるぐらいの距離感。
何をするのだろうと見つめているとニコリと微笑んだと同時にもう一度蓮の唇にキスを落とした。
触れるだけのキス、満足そうな顔をして離れる。「蓮の味、もっと堪能したいけどまた今度ね」と言いながら先程まで自分と触れ合ったところを幸せそうに指で触れていた。
こいつは恥ずかしいことを言ってる自覚はないのだろう、と思うと少しだけ厄介だ。
満足そうな顔をする姿を見てこれでいいと自分に言い聞かせて、アリアが幸せならそれで構わないと蓮は思う事にした。

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