お返しのその後
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中身はどうであれ入れ物がすごく気に入った。中身の処理をどうするかと考えたが普通に素材として使おうと倉庫に放り込んだ。その後妹に虚影の塵を舐めたと言ったら「人をやめる気なの?」とドン引きされたのは新しい思い出だ。
まさか自分はチョコを用意するつもりはなかったが、妹はチョコを作りたいと言ったため慌てて一緒に作り、妹の作るのを監視しつつ片手間に仕方なく彼にあげるようにチョコを作った。チョコ作りは無事に爆発したり、奇形な物になることはなく無事食べれるものができた。それを満足そうにする妹を見て一安心して彼にチョコを渡した。
捨てられはしなかったがそこは安心した。食べてくれたは知らない、あげれた事に自己満足して終わった。と思ったらお返しをくれた。予想外すぎてぽかんとした顔をすると馬鹿にしたように笑われたのもあった。それが『虚影の影』とそれに入った入れ物、貰った後はどうするかと考えたが、素材だから使い、入れ物は緋透の部屋に飾る事にした。だが中身がないのは寂しいな、と何か入れるかと考えた。
だが自室に飾っていると自室にたまにサーヴァント達に何か入れられる事がたまにある。お菓子、宝石、素材、紙切れ、ペンやらと沢山入れられるのをよく見た。まさかアイツから貰ったものがいろんな物に囲まれてるなと笑ってしまった。それを見たらどんな顔をするんだろうと想像してしまつて笑ってしまった。
「なに一人でニヤついてんの、気持ち悪いなぁ…」
「あのなぁ…ここは俺の部屋なの。何度言えばわかるんだ、オベロン?」
勝手に緋透の部屋に入ってきてベッドにドカッと我が物顔で座っては苦虫を潰した顔で緋透を見ていた。無言で部屋に入ってくるなと何度も言ってるのにそれでも無視して入ってくる彼に呆れているが、何度も注意しても止める傾向がない、言うだけ無駄かとため息をつく。
「それで、なに笑ってたんだよ」
「別に、この入れ物にたくさんの物を入れられたなぁ…って思っただけだよ」
そう言いながらオベロンから貰った入れ物を見せるとすごい勢いで眉間に皺を寄せて顔を歪ませている。そこまでいやかと笑そうになるがそれをグッと堪えた。
「え、なに。ソレ大事に持ってるわけ?ただの入れ物なのに」
「そうか?ここに置くと色んなものが集まるんだよな」
「見る?」と聞くと「見せなくていい」と返しベッドに横たわった。ボフンと勢いをつけ反動する。それを見た緋透はシーツとマントシワになりそう、と思いつつ口に出すとめんどくさいな。黙っておこう、まあどうせバレてるとは思うけど、と思いつつ入れ物を机に置いた。
「考えてる事バレてるからな」
「知ってる」
悪びれる事もなく開き直る彼女を見てたら嫌味ったらしくわざと大きく溜め息をして寝返りを打ちそっぽを向かれれ顔が見れなくなった。
「どうせただの入れ物だったんだ。飾る必要なんてないんだ、そんな価値なんてない」
ぽそりと呟いた声がやけに部屋に反響するように響いた。その声はどこか寂しそうに、本心であるような声だったが、本人が本当の事言ってるのだろうがと疑問に思いつつ緋透は呆れた顔をしながら横たわる彼の隣に座った。
「確かにさ、価値なんてないと思うよ。無価値かもしれない」
「そうだろ、だったら早く捨てなよ」
「けどさ、それでも価値を決めるのは俺だ。そう思ったから俺はそれを大切にしたいんだ、たとえ俺以外必要とされてなくてもね」
そう言うと「あっそ」と小さな声で返ってきた。もぞりと体を動かしマントに包まる。それを見てどこか愛おしいなと思いながらクスクス笑う。
これはただの自己満足、自分さえ良ければいいと言う傲慢、自分勝手だってわかっていた。それは相手が望んでなくても思うのは自由だから、わからなくてもいいと、諦めでもあった。
「……けど、貰ったチョコ、不味くはなかったよ」
そうオベロンの口から発せられた言葉は思いもよらなかった言葉が紡がれた。まさか感想を言われるとは思わずに目を見開き彼を見た。
その感想は決して最高の褒め言葉ではなかったがそれだけで十分だった。作ったチョコを食べてくれた、それだけで幸せを感じれるから。食べてくれた事実があるだけで作って良かったと思えた。
「うわ、キモッ。そのにやけた顔やめてくれないかな、吐き気がする」
「えっ?俺そんな顔してる?」
「してる、だから次見るときはその顔やめてよね」
緋透の方に振り向いた彼は嬉しさのあまり顔が綻ぶ彼女の顔とは真逆な顔をしていた。そんな事言うんじゃなかったという後悔をしたがもう遅かった。
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