仗助と別れ話







「え、やばいやばいやばいやばい、なにこれ、なんか涙出てきた。」
「ちょ、やめてくださいよ。とりあえずこれでなんとか。」
「うっせ、てめーのせいだろ。」
「うおッ! 暴力はダメっす、暴力は。」

ぱちんぱちん、力ない手で仗助の胸を叩く。くそっ、無駄に良い胸筋しやがって。ボロボロ泣きながら、それを止めるでもなく、仗助が渡そうとしてくれたティッシュを叩き落としてやった。何でこんな時にちょっとした優しさ見せんのよ。何でまだ彼氏ヅラしようとしてんのよ。


「もー、なまえさんすぐ泣くの禁止。」
「はあ?」
「そうやって泣かれるとさぁー、やっぱ弱いっつーか…なんと言うか。意思にぶっちゃうんで……。」
「意味わかんない。私のこと嫌いならそうと、」
「嫌いじゃないっす。むしろ、…やっぱいいや。」

なまえさんは俺なんかとずっと一緒にいるべきじゃないっすから。と寂しそうに笑う仗助の顔を見ると、また涙が出てきた。


「最後くらい笑ってくださいよ。」
「誰のせいよ。」
「んー、俺ですよねぇ。」
「そうよ。ほんっと最低。」
「うん。」
「仗助のあほ。」
「うん。」
「ろくでなし。」
「うん。」
「仗助なんて、嫌い。」
「…うん。」
「仗助なんか、仗助なんか、大嫌いよ。」
「……うん。」
「アンタより良い男なんてたくさんいるわ。」
「…………。」
「…なんとか言いなさいよ。」
「…………。」
「なんとか言いなさいってば。」
「なまえさんなら、素敵な人に大事にしてもらえる。」

ぎゅう、と強く抱きしめられた。私を大事にしてくれる素敵な人なんて仗助しかいないのに。
どうしてそうしてくれないのよ。








年上のなまえさんとじゃ釣り合わないと、自分から遠ざけようとする仗助。でもずっと好きな気持ちは消えない。


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