日本では汐華百合子、イタリアではリリアーノ・アデリーナ・ツェペリと名乗っている女は、プッチとの戦いで死んだ。花京院のハイエロファントグリーン、アブドゥルのマジシャンズレッド、ポルナレフのシルバーチャリオッツ、承太郎のスタープラチナ、それらの力を思う存分に発揮できるように、百合子は初恋の幼馴染がアメリカ人女性と結婚して生まれた娘を確りと守って徐倫の腕の中で死んだ。
同じ色の目を見て死ねるのだと思うと百合子は幸せだった。暗くなる視界とは裏腹に耳はもう少し音を拾った。
スタープラチナのラッシュの音、プッチの叫び声、少し経って駆け寄る幾つもの足音。
もう何も見えはしない。だが、その聞こえた声に百合子は確かに微笑んだ。
「……しあ、わせに、いき、て……」
愛する人の宝物を守れた事は誇りだ。
意味が分からない話だが、百合子は一軒家の押し入れで倒れていた……らしい。らしい、と言うのは倒されたはずのプッチを見つけて全力で殴りに行った記憶しかない為だ。
百合子のスタンドは、はっきり言って強いとは言えないものだと自分で思っている。その分、波紋戦士としての戦い方がメインであり、スタンドはあくまで補助として使って来た。とは言え、空気中の気体密度を操作できると言うのは意外に使えるものだ。そして、逃げるだけなら問題は無い自信はある。
そのため、こうやって見張られている現状を甘んじて受けてやっているだけだ。見張っているメンバーに、何故か高校生の頃と寸分変わりない承太郎も混ざってるのが気になると言うのもあるが。
「今から、君の記憶を彼のスタンドで読ませてもらうよ」
ーー岸辺露伴のスタンドか。まァ、何されるのか分かっていれば良いか……抵抗するのも、この面子相手じゃあちょっと面倒だわ。
代表者として最も体格の良い男、ジョナサンが態々説明をしてくれた事に百合子は、彼ら側らしいとも思っていた。
「良いわ。ただし、ひとつだけお願いがあるの」
「お願い?テメー、そういう事が言えた立場か?」
「ヤレヤレ……まあ、本当にちょっとした事よ。
私、汐華百合子のスタンドがディープ・パープルになった所まで、私に内容を知らせないで欲しいのよ。
とあるスタンド使いのせいで、私は現在のスタンドになるまでに、3つのスタンドを付け替えられたわ。
遠距離パワー型のオーシャン・ブルー、近距離パワー型のレッド・ガーランド、中距離特殊型のカーペンターズ、そして現在の近距離操作型のディープ・パープル。
その時の私の精神に合わせたと言われはしたが、詳細を思い出す事でこの汐華百合子自身に影響が出ても嫌だわ」
ーー既に本来の性格からどんどん捻くれて来てる自覚はあるが……まあそんな事はどうでも良い。