FF12-アーシェ成り代り- (1)

side.アーシェ

ダルマスカ王国の唯一の王女である、アーシェ・バナルガン・ダルマスカとして転生した私は、元はFF好きのゲーマーだった。あの凄く分厚い攻略本は絶対買ってたレベルだし、ダスティア狩りとか滅茶苦茶やった。その知識込みで言わせて貰えば、アーシェに成り代わったと言うのは絶望しか無い。
今は4歳そこら、ゲーム開始時は19歳、その2年前に結婚して未亡人になるって事はだ!あと13年の17歳でそうなっちゃうんだね。笑えない。
ダルマスカ王国の滅亡も有ってはならないが、そうなった時にせめて国民が無事であって欲しい……王族のやらかした何かが原因でゲーム内の死都ナブディスの様にさせたくは無い。ダルマスカがそうなる可能性はあると言うのは誰が言っていただろうか……いや、先ずは対策だ。
打開策を考える為に周りの方々について考えてみると、1番大切にすべきはウォースラなのでは?確か、アーシェにとっての解放軍では2年間も裏切らずに国の為、民の為に支えていた筆頭は彼だ。そして裏切り者は多く出ていたと何かで読んだぞ。バッシュ?彼は他国からの移民ではあれど、国の将軍として懸命に動いてはくれたさ……けど肝心の2年間に文字通りの籠の鳥だったんだ。

そして、ゲームの時代より15年前の今見えるのは何か?
私は4歳の王女であり、母は未だ健在。父王ラミナス・バナルガン・ダルマスカは私を可愛がってはくれているが53歳と言う歳は残念ながら、その剣を弱らせるには至らないらしい。
作中で王子が居なかった理由は、はっきりと2つ……病で伏したままに還らぬ人となった者は今は居ない。残るは戦死。もし半数が病死だとしても、それだけの戦を父は続けていると言う事。アルケイディアやロザリアとの小規模な小競り合い……大国からはそう写るだろう小さな戦を続けている。あちらからのちょっかいでは無いらしい。つまりは少しずつでも領地を削り取ろうと言う算段なのだと言う。成功している風には見えない。これを13年も続けていれば、8人の王子も居なくなる訳である。既に1人の兄は戦死している。つまりは分不相応にも領土拡大を目論見て王族の命、民の命を浪費している。それ以外は、良い王なのが逆に辛い所だ。
バッシュ・フォン・ローゼンバーグはランディス共和国の良家の出身ではあるが、既にランディスは無く、平民出身のダルマスカの勇猛な軍人として既に名をはせつつ有る。22歳で生真面目な男だとウォースラは言っていた。
そして、当のウォースラ・ヨーク・アズラスと言えば……この国に代々仕える名家の出身で、国と民を第一に考える忠臣だと私は思っている。バッシュの2歳年上の24歳で、私がアレコレと兄や父、民の事、果てはバッシュについて質問しても快く答えてくれるくらい、まだ幼い私にも真面まともに対応してくれる。私が、兄たちの役に立ちたいからと魔法の勉強を始めたがった時には、ジョブシステムについての説明を、きっちりしてくれた。この世界はゾディアックエイジのシステムらしい。「もう少しだけ大人に成られてから、そうですね、向き不向きが分かってから選択致しましょう。」と言われてしまえば、その時は諦めざるを得ない。早く向き不向きを判断出来るようにと勉強に護身術にと力を入れた。当然、最悪の事態を避ける為の判断力を得る為に見聞を広める事も積極的にした。

兄にくっついて、ビュエルバにも付いて行って、オンドール候にお会いして抱っこをせがんだし、ナブディスにも行ってひとつ年上のラスラ・ヘイオス・ナブラディアにも会った。
しかし、一番会って見たいのは、今は12歳の筈のヴェイン・カルダス・ソリドールだ。けれど、私の身分は弱小で小競り合いを仕掛けて来る敵国の王家。会える筈も無い。
最終的ににはラスボスとして対峙する男ではあるが、そんな相手に何故会って見たいのか?それは、彼が歴史を人間に手に取り戻すと意気込んだシドと、事実を教えたオキューリアのヴェーネスとの友としての感情も有ったろうし、もう3年程で誕生する彼の弟ラーサーへの親愛は本当だったと、私は思うから。今は未だ兄の処刑をさせられて居ない彼と話がしたかった。本来の彼と。

まあ、当然だが、そんなのは叶わず。早いもので私は6歳になった。結構早いらしいがジョブ選択も許され、赤魔戦士を選んだ。魔力の高めな私にうってつけなジョブだと知っている。その上、このジョブでそれなりに戦える様になったら、ブルオミシェイスに巡礼に行きたいと言う希望も叶えて貰える事になっている。この国に何かあれば、難民が世話になる事になってしまう場所だ。寄付だってちゃんと持っていく。全体から見れば少ないだろうけれど。

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side.ウォースラ

末の姫君であるアーシェ殿下は、その年齢に似合わぬ程の思慮深さを感じるお方だ。未だ4つの時分に、8名の兄君について質問なさったかと思えば、既に戦死なされた兄君の事を聞き、その長い睫毛を伏せて小さくキルティア教の祈りを捧げておられた。今の王族、重臣達の中でアーシェ殿下だけが、ラミナス陛下の覇と言うには薄い領地獲得願望に眉を顰めておられる様に見受けられた。けれど、その想いを態度に出すのはどうやら私の前だけらしい。母君にも隠しておられるのは、己が想いが他と異なるものだと気付いていると言う事だ。
そんな中、私にだけ隠さないのは、恐らく、民を憂う私の心情に薄らとでも気付いておられるから、なのだろう。
さすがに、兄君方の為に魔法を、特に白魔法を学びたいと仰られた時には、まだ早いと申し上げた。精神が早熟であるアーシェ殿下ならば8つ程度で学べるだろうが、4つでは早過ぎよう。こう言う事に関しては聞き分けの良さが有り難い。

勉学の合間に、憂いを帯びた表情で街を見下ろす姿を見つけて、声を掛ければ、振り返り柔らかく笑むお姿は母君に良く似ているのに、何処か儚げなのは、この国の行く先を案じての事だったのだろうと気付けたのは、10年以上後の事だった。

勉学を教える者によれば、アーシェ殿下は6歳でジョブ選択を可能な程に成長なされていると言う。それを聞き、アーシェ殿下は、ジョブをある程度使えるようになったら、ブルオミシェイスへ巡礼に行きたいと希望を仰った。そして、殿下は赤魔戦士のジョブをそこそこ使える様になり、共に私とバッシュを連れてダルマスカを発った。殿下は私と二人で十分だと初めは言っておいでだったが、ラミナス陛下が、もう一人連れて行くことを条件にしたのだ。

小さな体で必死に砂を踏み締め、初めて見る砂漠の動植物に目を輝かせる姿が、あまりにも年相応で、ああ、この笑顔を護らなければ、と改めて決意した。

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side.バッシュ

アーシェ殿下の望まれたブルオミシェイスへの巡礼の共として、ウォースラと共に王都ラバナスタを立ち、時にはチョコボに乗りながらパラミナ大峡谷へ辿り着いた。思いの外、アーシェ殿下の魔法に助けられた。未だ御若いのに素晴らしい魔法の知識と技術、そして魔力も高いようだ。予想していたよりも早くブルオミシェイスへ辿り着く事が出来た。一先ずはゆっくりと一晩休み、体調を万全にしてから、詣でようとアーシェ殿下が尤もな事を仰った為、我々は宿をとった。

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2020/04/05