ドラコの姉 1

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私はソフィア・マルフォイ。ドラコ・マルフォイの姉である。
特筆するならば、私には前世と言うものがある。前世の私は良く頑張った。女であるからには中々に生きにくい時代に生まれ育ち、それでも家格の低いながら純血家系に生まれた私は、純血貴族の家に嫁ぐ事が出来た。それだけで十分に恵まれていたと知っているけれど、その頃少しずつ生まれ始めていたスクイブと言う存在が、何故生まれるのかを知りたいと思い、知る為に情報を集め続けた。
私自身は運良く後継ぎである男子と、嫁に出せる女子をそれぞれ2人産めた為、許された事だった。道楽だと思われていたのだろうが、その様な事をジャンルは違えど行う者は居た事は幸いだった。

集めた情報を纏めなければ意味はない。私は山の様な情報を整理して、晩年には何とか纏めることに成功し、分かった事はスクイブにも幾つかのパターンが有ると言う事だった。
一つ目は、一部の家系に見られた、近親婚を繰り返す毎に増えているスクイブ。
二つ目は、呪われた結果、後継ぎ一人を残して病弱であったりスクイブであったりする場合。
三つ目は、精神的に抑圧された子女が、魔力をコントロール出来ずにスクイブと化し、状況により抑え込み過ぎた魔力が暴走する場合。
おおよそでは有るが、この三つのパターンに分けられた。
その副産物として分かった情報も有る。
“マグル生まれ”と“マグルと純血との混血”の場合、魔力の質と量どちらでも“マグル生まれ“の方が秀でている。そしてマグル生まれ同士での婚姻により誕生した”マグル生まれ二世“は、ずいぶん安定していた。三世代目になれば、純血と遜色ない程になっていた。
考えてもみれば、魔法使いや魔女と言うのは魔力を持たない人々の中から、少しずつ生まれ、その人々がコミュニティを作り、徐々に二つの世界へと別れていったのは、当然ながら皆知っている歴史だった。つまりはマグル生まれでも、3代目には、結婚相手には申し分ない存在になっていると言える。
ただし、純血家系にはそれぞれの役目や家系毎に違う守護精霊や使い魔が居る場合も有る。各家系に伝わる魔術だって有る。それを伝え、役目を全うするのが純血の在り方だと忘れてはならない。
そう、純血家系が集まり趣味としてポーションや魔法生物等各分野に深く入り込み研究してきたモノを、発表する場ともなっていたサロンで全てを公表した。
広く知らしめるべきだと夫や息子に言われて、“血統と伝統とスクイブ“そう冠した本を作り上げて出版した。
はっきりと数値化された物が載った其れは、説得力が有っただろう。時折だが、詳しい話を聞きに来る純血貴族も居た。そこで本には書ききれなかった情報を纏めた資料を基に、長らく純血を維持した家ならば、濃くなり過ぎたものを薄める為には、ホグワーツを他の追随を許さぬ程に優秀な成績で卒業できる様な子が、1番良いだろうと言う考えも、教えていた。いつしか純血主義の意味は、“マグルとマグル生まれの徹底排除”から“マグル生まれと純血をマグルから護る”ものへと戻って行った。そう、かつてのサラザール・スリザリンはその様にしていたのだ。そして、スクイブもしっかり保養させた結果、過剰な抑圧からの解放により魔力を発現させる子供も現れた。呪われた結果の場合は、幾つかの家が合同で研究を進めているらしい。私は闇の魔術と相性が悪く使いこなせない為、此れは進展を聞くのみとなった。1番の問題である、血の濃ゆ過ぎる故のスクイブは、試しにマグル生まれと家庭を持ったらどうだろうか?と発信し、偶然にも幾つかのスクイブとマグル生まれと言うペアになっていた夫婦に辿り着いた。彼らはひっそり生きていた為、名前は公表せずにいると言う約束で話を断続的に聞かせて貰える事となった。
結果分かったのは、このパターンのスクイブには圧縮された魔力が眠っているのでは無いかと思わせる程に、夫婦の子は大きく強い魔力を宿していた。やはりある程度はマグル生まれを嫁にしたり、婿にやったり、と言うのは必要だと結論付けて、”スクイブの魔力“と言う本に纏めた。当然だが、本にそのスクイブとマグル生まれの家族達の本名は書いていない。偽名を使って書き、本人たちにも出版前に原稿を読んで貰って、彼らだと分からない様に手を尽くした。
そして、”純血主義の権威“”スクイブ達の母“等と呼ばれた。その頃には既に歩くのもままならない程に衰え、死が近いと分かっていた。そのまま、恥ずかしいから大層な呼び方は辞めてほしいとも言えずに死んだ。

だと言うのに、何故?どうしてあれからずっと時が経った今、純血主義とスリザリンをまとめて非難する者が居るのだろう。闇の魔法使いが多い?其れは当然だろう。その闇に魔術に対応し、ブリテン島を護る為に古の魔術を受け継ぐ家が多く有るのだから。古の魔術、護りの術は術者の命さえ削る物だ。闇の魔術が上手く使えなかった当時の私にだって、護りの術の使用は可能だった。私達の命と魔力は常に、各々の屋敷の護りからコミュニティの護り、この国に張り巡らせてある護りの結界が無ければ、大戦の最中に空襲で焼け果てたと言うのに。マグルに我らの存在が露見し、再び魔女狩りが起こり得ると言うのに。

その我々への弾圧者の筆頭がグリフィンドール出身のアルバス・ダンブルドアだと言うのは直ぐに分かった。

2020/05/03