04 娘
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ずっと、ずっと、女である事がコンプレックスだった。子供の頃から好きなドンシャイン、ヒーロー……男の子のものだとずっと言われて来た。スポーツで優秀な成績を出せば、男だったら良かったのに、と言われて来た。ここに来て女だから失敗作なのだと言われてしまえば、どう生きれば良いのか分からなくなる。私は女だ。それを否定される事は辛い。
だからずっと、好きなもの、好きな事、全てを我慢して生きてきた。本当は格好良いものが好き。私だって戦いたい。強くなりたい。そう、ジードに感じていたのは、嫉妬だ。
私も出来るハズじゃないのか。同じ何でしょう?違いは何?そうだ女だ、女だからなの?
「おい、どうした?」
帰宅したベリアルは、床に倒れこみ苦しげに呼吸を荒げるアリルを見つけて歩み寄る。
「はっ……はっ……」
「過呼吸か。おい、息を吐け……そうだ、ゆっくり」
そばにしゃがみ、抱き起こす。
何度か繰り返した指示に合わせ、何とかアリルの呼吸は整った。
「どうした?」
「っ、強くなりたい!私も戦う力が!欲しい!ジードが羨ましい!」
一瞬言葉が出なかった。俺と同じ事を?
「女だから私は、捨てられたのか?戦えれば違うのか?私は!力が無いから要らないの?!」
ああ、少し違う。だが似ている。
「違うよ、アリル。ジードにはジードの、アリルにはアリルの役割がある。お前は既に俺の力になっている。お前には癒しのパワーがある。気が付かなかったか?」
ベリアルの言葉に、アリルは己れの手のひらを見つめた。
「私は……ちゃんと……」
「ああ、アリル。その名も俺が付けた名だ。お前には名付けるタイミングがあったからな」
「あ、おねえちゃ……本当にあの時には、もう?」
姉を思い出し顔を曇らせるアリルの思い出を塗り替えて行く。
「ああ、そうだ。全て俺だ……アリエはお前と出会った時には既に死んでいたよ。その外見を借りた」
「じゃあ、どこか遠くに……行くときは……」
つい最近の話だ。簡単な事だ。
「ああ、一緒に行ってやる」
アリルはべリアルの手をかりて、笑って立ち上がり、そのままの勢いで抱きついた。
「ありがとう、お父さん」
再び、言葉に詰まる。父、そう呼ばれる日が来るとは思わなかった。利用する為に、ジードに息子と呼び掛けて来た。アリルの側に長く居たのは、力を引き出す為に少しずつ、ベリアルのウルトラマンとしての力を注ぐ事が目的だった。それだけのハズなのだ。
「っ、ああ。俺の娘、アリル」
この時、2人は初めて本心から父と子になった。
しかし、ベリアルが今更ここで止まる訳も無かった。それを感じ取っていながらも、アリルは止める事をしなかった。
この時、アリルは既にベリアルがどうあれ、本当に捨てられない限りは何処まででも、着いて行くと決めていた。
2024/08/31 up
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