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ユウは学園長の、落として持ち上げると言う洗脳じみた物言いにぞっとした。そうやって生きてきた男なのだろう。嫌な男だ。そして押し付けられたグリムと言う魔獣の監督は、骨が折れるんじゃ無いかと、この短い付き合いでも思った。
案の定、売り言葉に買い言葉で男子生徒と喧嘩を始めてしまった。言いつけられた掃除を始める事すら出来ていないと言うのに。
やめなさい、と声を上げてもヒートアップした1人と1匹には届かない。
魔法を使われたら、魔法なんて使えない私にはどうしようも無いと言うのに、どうして私に、この魔獣を監督出来ると思ったのだろう。青い炎の温度は千度オーバーじゃなかったか?そこに飛び込んで止めろと言う事だろうか?無茶振りにも程が有ると思う。
成人して働いてる人間としては、一週間以上に渡る無断欠勤はクビ案件である。そしてもし運良く帰れたとしても、社会的に死んでる。やっと返し切った大学ローンの後は、一先ず貯金して、遅かろうとお見合いとかでもして結婚して……とか思ってたんだけどな。帰れるなら早く帰りたい。
とか思いつつ、自分の仕事くらいしなきゃいけないかな、と掃除をしていた。
入学式で暴れた魔獣と一年生が魔法で喧嘩し、野次馬が居ると言う状況を気にする素振りも無く、どう見てもオッパイの付いた、女性らしい体付きのちんまい娘がメインストリートの掃除を黙々と行なっている。
「あ、ちょっと通らせてね、ありがとう」
と野次馬の間をするする移動しては箒と蓋付きの塵取りで、せっせと掃除していた。
生徒達は、やっぱり女の子だった!とそっちにも注目していたし、魔力無しだったよな、と思い出したりして、何かの事故か?新しく雇われたんじゃねえ?と噂し合っていたが、幾ら仕事で英語が出来るし海外出張もやって来たとは言え、英語がネイティブでは無い為、ビジネス英語とそれなりの日常会話しか分からない。そりゃあ仕事で付き合いのある国や旅行先の、ごく簡単な日常会話と買い物に必要な会話くらいは頑張って覚えたが、其れだってフランス語とギリシャ語くらいだ。
だから、そのまま入学と言う羽目にならなくて良かったと思っていた。カレッジと言うからには、高度な授業を受けているのだろう。授業内容と、学生の素行はイコールでは無い。むしろ頭が良いヤツらは、頭の良い悪さをする事もある。まあ、お粗末で軽薄な事をやるバカも居るのだが。
其れはともかく、ユウは不思議に思っていた。ディア・クロウリーと言う学園長はユウを公的な機関に預ける方が楽なのでは無いかと言う事だった。その方が金銭面でも楽だろう。雑用係と言う事は賃金が発生する、筈だ……まさか家賃代わりや、ちょっとの生活費という訳では無いだろう、きっと。
何て考えていたけれど、ふと振り返ると目の前には青い炎が迫っていた。
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2021/04/26
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