リンの故郷2 ボツ 理由 長い
学園長が用意した教室には見知った顔が多かったが、確かにあんまり知らない人達も居た。
緊張しながらも登壇するユウにリンが微笑んで、資料を配ってくれた。そしてそのまま教壇の一番近い席に着いた。
「さあ、ユウくん。少し早いですが皆さん揃っていますので、始めちゃいましょう!」
「分かりました。ええっと、今回のお話しはリンさんの故郷と何か関係があるかも知れないと言うことで、お話することになりました。」
資料の表紙に書かれた文字を指差して読み上げる。
「テレビアニメ機動戦士ガンダムSEEDシリーズ、これはわたしがこの世界に来る20年程前に放送された機動戦士ガンダムSEED及び機動戦士ガンダムSEED DESTINY、それから、ここに来る少し前に劇場版が劇場放映された機動戦士ガンダムSEED FREEDOMの三作品からなるわたしの故郷である日本のアニメ作品です。」

「はい、質問があります。」

手を挙げたのはリンだった。

「え!もう質問ですか?」

「ええ、恐縮ですが、ガンダムとは一体何でしょうか?私の所ではそのような物は記憶に御座いませんものですから。」
立ち上がって敬礼でもしそうなビシッとした姿勢でリンは言った。

「ああー、なるほど!そうだった。その辺りは話が進んだら出てくるので、待って貰っても良いですか?」
そうだガンダムなんて言葉は、キラが言うまで出てこない。

「そうですか。失礼しました。」
静かに着席したリンはそのまま、資料に目をやってペラリと一枚捲った。

「資料の最初のページを開いて下さい。そちらには初代の主人公であるキラ・ヤマトとその学友達、そして共に戦う事になるアークエンジェルのクルーの事が書いてあります」

「あの、よろしいかしら?」
「え!はい!」
「ナチュラルとコーディネイターの説明を先になさらないのかと思いましたものですから。」
「あ、えっと忘れてました。」
「私が説明しましょうか?」
「え?」
「これでも故郷ではトップクラスで優秀なんですよ?お任せになって」
そう言って立ち上がったリンが教壇に立つ。

「監督生ユウに代わって、Z.A.F.T軍、キャンベル隊隊長リン・キャンベルが説明させていただく。
まずは歴史からである。
A.D(西暦)末期に我が世界は石油資源は枯渇し、環境汚染も深刻化、全世界的に不況の嵐が吹き荒れる事となった。
その事態を受け、諸国家は排他的経済ブロックを作り、この影響で地球は幾つかの勢力に分割される事となった。
世界中で民族・宗教紛争が激化。その結果、国家統合・再編を促した大戦に突入する。
これがR.C.War(Reconstruction War/再構築戦争が開戦)である。
時を同じくしてS型インフルエンザが世界中に流行。戦争とあいまって、多くの死者を出す事態となる。

西暦の終わりにジョージ・グレンという原初のコーディネイターが科学者の手によって誕生した。
それから16年後のC.E1年、地球上で最後の核爆弾がアジア地域で使用される。この核が世間では終戦への機運を高めるが、終戦はまだ先となる。
ジョージ・グレンは大西洋連邦MIT博士課程を修了、オリンピックの銀メダリスト、アメリカンフットボールのスター選手、C.E.5年に海軍に入隊し後に空軍のエースパイロットとして活躍した。
さらに、理工学の分野においても様々な業績を掲げ、C.E.4年(当時20歳)にはノーベル賞候補に選出されており、世界中から「万能の天才」と評される。この時はまだグレンと科学者以外はコーディネイターと言う概念を知らぬ。

ここまでで質問はあるか」

「アメリカンフットボールって何だ?」
臆する事なくカリムが聞いた。

「こちらで言うマジフトのようなものだ。魔法のないタイプだと思えば良い。他は、無さそうなので続ける。

C.E9年R.C.Warが終結。
 国家の枠組みが大きく変わる事となった。
 米・英・加による大西洋連邦、EU諸国によるユーラシア連邦、中・日・韓などのアジア共和国などが成立したのはこの時だ。
国連主導化に伴い、新暦として統一暦(Cosmic Era)が制定された。
元年は「最後の核」が使用された年に設定されている。
同時に宇宙開発計画遂行が宣言され、世界大戦で凍結されていたL1の第四世代ISS(国際宇宙ステーション)「世界樹」の建造が再開した。

C.E10年、コロニー構想が本格化。資材調達・組立基地として月面基地「コペルニクス」が建造開始された。
新たなフロンティアとして停滞していた宇宙ビジネスが本格化し投資が盛んになった。
大西洋連邦、FASA(Federal Aeronautics Space Administration/連邦航空宇宙局)に
エースパイロットとしての功績からC.E.10年に大西洋連邦からFASA(連邦航空宇宙局)にジョージ・グレンが招聘された。
大西洋連邦、連邦宇宙軍(FSF:Federal Space Force)が設立。
ユーラシア連邦、アジア共和国もこれに追随した。
C.E11年1月、宇宙都市「世界樹」が完成する。
C.E12年、初の一般居住が可能な月面都市「コペルニクス」が完成する。
FASA、木星探査プロジェクト発動。木星往還船「ツィオルコフスキー」計画発表される。
ジョージ・グレンは設計主任として計画の中核になっていた。
建造基地となったのは、先ほどの「世界樹」である。

C.E15年、木星往還船「ツィオルコフスキー」完成。「ツィオルコフスキー」に外骨格・補助動力装備の宇宙作業服、通称「モビルスーツ」搭載。これが戦闘用モビルスーツの元祖とされる。
ここで起きたのが『ジョージ・グレンの告白』だ。
 木星圏へ探査船「ツィオルコフスキー」が出航した。
 このとき、ジョージ・グレンによってコーディネイターの存在が明らかにされる。
 そして、製法がネット上に公開される。
世界は、コーディネイターの是非を巡り大混乱に陥った。
各宗教界の権威は「神の領域」を侵す技術を危ぶみ、この技術を異端認定、データ閲覧すら破門対象とした。
自然環境保護を訴える圧力団体「ブルー・コスモス」、コーディネイター技術に対して反意を表明した。ブルー・コスモスの最大のパトロンは、大西洋連邦の現在も続くアズラエル財閥である。
この時、ジョージ・グレンは言った言葉だ。

『僕は、僕の秘密を今明かそう

僕はヒトの自然そのままにナチュラルにこの世界に生まれたものではない
……僕は受精卵の段階で人為的な遺伝子操作を受けて生まれた者
その詳細な技術のマニュアルを今、世界中のネットワークに送る

今この宇宙空間から地球を見ながら僕は改めて思う
僕はこの母なる星と、未知の闇が広がる広大な宇宙との懸け橋……
そして、人の「今」と「未来」の間に立つ者……
「調整者」……「コーディネイター」……
このようにあるものなのだと

僕に続いてくれる者がいることを切に願う』

しかし彼はまあ、我々の善性を信じすぎたな。人とは欲望のまま動く事も良くある。故にこのコーディネイターの製造方法は瞬く間に商売になった。

C.E16年、コーディネイター問題を論ずる「国際遺伝子資源開発会議」において人類の遺伝子改変に関する議定書が採択された。
これにより、人間の遺伝子を操作する事は一切禁じられたが、一部の富裕層は我が子をコーディネイターとして誕生させて行った。
当のジョージ・グレンの処遇については、7年後に彼が宇宙より帰還した際、決定される事となった。
C.E17年、極秘裏にコーディネイター生成を行っていたシカゴの病院が焼き討ちに遭った。
医師・看護士、入院患者らが虐殺されている。
ブルー・コスモスの関与が噂されるも、真相は不明のままである。
同年、大西洋連邦、南アメリカ共和国の共同国家プロジェクトとして、中米、パナマにマスドライバー基地「ポルタ・パナマ」建造開始された。

C.E21年、ユーラシア連邦、南アフリカ統一機構と合同でビクトリア湖畔にマスドライバー基地「ハビリス」建造開始。
C.E22年、木星圏に到達した「ツィオルコフスキー」が、エウロパ付近にて隕石の中からEvidence01が発見された。
世界は再度混乱に陥り、FASAは化石の持ち帰りを指示。
この年、つい先日まで我が祖国プラントの最高評議会の議員であられたシーゲル・クライン、スカンジナビア王国にて極秘裏にコーディネイターとして誕生している。
翌23年現在の最高評議会議長であるパトリック・ザラ、大西洋連邦にて極秘裏にコーディネイターとして誕生している。プラントでは教育者としてもその手腕を発揮して来たお方である。我々の世代は彼に世話になった者も多いだろう。まあ、私の知る学友はここ10年で半分は戦死したがな。
C.E29年ジョージ・グレン、「Evidence01」を伴い、木星圏より帰還。
化石はL5の研究コロニー「Zodiac」に運び込まれ、詳細な調査が行われる。
調査委員会は、「偽物である可能性は全く発見できなかった」と発表。また、「クジラレベル、あるいはそれ以上の知性を持っていた可能性が高い」とも発表。
これにより、各宗教界は混乱に陥る。



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