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一年の準備期間中に、ゆっくりと周りに違和感の無い程度に身辺整理をして、家族には住み込みの仕事に就く事になったと伝えた。この家族が平穏無事に過ごせる様に戦うのだ。其れが私に出来る事だと言うのなら、行き着く先が地獄だとしても構うものか。

勧誘の男もとい、時の政府の説明役であると言う男は、準備期間内も時折様子を見に来ては少し話して帰って行った。それを繰り返し、期限となり夏海は現世を後にした。



審神者養成所の過去出身審神者候補者学級、略して過去出身学級は、政府の選りすぐりの教師陣でも非常に気を遣うクラスである。
候補者達はどの時代の出身者であれ、入学する時に政府に与えられた名か、自身で申請した名が使用可能なら、申請した名を名乗る決まりだ。
開戦して4年目の2209年の過去出身学級の近代出身者である勝色は、誕生日を色に当て嵌めた色占いで出た色を名乗り、制服として与えられた巫女服に身を包み、長いストレートの黒髪を濃い紺の組紐で結っていた。元々掛けていた眼鏡は、彼女にとっての未来技術により必要の無い程度まで視力が戻った事により、裸眼である。その為、この過去出身者クラスの約30名に混ざって違和感等無かった。ただ、彼らよりも多少雰囲気がおっとりしていると教師は思っていた。

「俺は君達の教育担当となった黒曜だ。こちらは補佐役の蜻蛉切。其方から此処での名を名乗りなさい。特技も。」
黒曜はこの2200年代の人間で、蜻蛉切には及ば無いが、この時代の人間らしく170cmを越す身長だ。けれど過去出身者の殆どは140cm半ばから150cm半ば辺りで、ほんの数人が170cmから180cmを越す彼らにとっての大男だった。刀剣男士の短刀や脇差以外の殆どは長身であり、其れが違和感の無い程度には、この時代の平均身長は高めである。

全員の自己紹介が終わり、勝色は思いの外古い時代からの人間が多いと感じていた。WW2以降の生まれは恐らく勝色のみだ。そして男の方が多い。30人中、女は勝色を含めて4人と少ない。
ボブカットの勝色より若そうな彼女は、海老茶と名乗っていた。明治の女学生の女袴の色かな?と勝色は考えるが、この髪型は大正以降だろうと思い直した。



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2021/01/24 最終更新