「誕生日?」
「そう。今日俺の誕生日」
ソファでジャンプを読みながらサラリとそう言ってのけたのは今日の主役坂田銀時。え?ちょっと待って。なんで誰も教えてくれなかったの?なんで今日誰もいないのかなーとか馬鹿みたいに考えてたじゃん。普通に仕事して残業して帰ってきてお風呂借りて化粧水つけたりパックして髪の毛乾かそうとしてたからもうすぐ10日終わるじゃん。
「え、ちょ、なんで今それ言うの?」
「いや、普通彼氏の誕生日くらい知ってるもんだろ。驚いてることに驚きなんですけど」
いやいや。だって付き合ったの最近だよ?知ってるわけないよね。最近までただの飲み友達だったんだから誕生日いつとかそんなの知ってるわけないよね。
正直文句しか出てこないけど誕生日の人に流石にそれは言えなくてなんだかすごく言いたくないけどパックをしたまま笑顔を貼り付けて銀さんの方に体を向けた。
「……誕生日おめでとうございます」
「…お前どんだけ祝うの嫌なんだよそんな貼り付けたような笑顔しやがって」
「いや、すごく祝ってるよ?頭の中で坂田銀時生誕祭してるよ?」
「パックつけたまま祝われても嬉しくねーよ!」
えー。プレゼント何も用意してないよ。よくよく見たら机の上に誕生日プレゼントらしきものが置かれている。今日みんなにパーティーでも開いてもらったのかな。神楽ちゃん達も教えてくれてもいいじゃん!なんで?なんで私この人の誕生日知らなかったの?!いろんなことに腹が立ってパックを勢いよく外してゴミ箱に捨てても時間は勿論巻き戻るわけがない。何かないかと鞄の中を覗いてもあるのは財布と携帯とお泊まりセットだけ。
あ。ひとつあった。誕生日プレゼント。
「銀さん銀さん」
「なに。彼氏の誕生日知らなかった美月ちゃんなに」
「はい、誕生日プレゼント」
万事屋来る前にコンビニで買ったいちご牛乳があったわ。よかったーこれで誕生日プレゼント問題解決した。お祝いできてよかったー。さあ髪の毛を乾かそうとドライヤーの電源を入れようとしたら頭の上から手が伸びてきてドライヤーを奪われた。顔を上げるとそこには顔に青筋立てて眉毛を吊り上げた銀さんの顔があった。
「オイオイ美月ちゃんよォ。別にいいよ?いちご牛乳でも。銀さんの大好物だからね。糖分大好きだからね。でももっと渡し方あんだろーが」
「いやめっちゃ笑顔で渡したじゃん。お祝いの気持ちが溢れて零れ落ちてたじゃん」
どうやら納得いかないようで銀さんは私の頬を両手で摘んで引っ張ってきた。痛い。どうしたらよかったの?どうやって渡して欲しかったの?銀さんの気持ちがわからなくて何も言えないでいると拗ねてしまったのか再び向かいのソファに寝転がってしまった。
本当はちゃんと誕生日祝いたかったんだけどなぁ。
ずっと飲み友達だったからかどうしてもこの人と恋人がするようなことは恥ずかしくてなかなかできない。きっと普通の恋人ならサプライズでも考えてきちんとプレゼントも用意してお祝いしてあげるんだろうなぁ。そういうの興味ないもんだと思っていたけど顔に似合わず可愛いところがあるこの人のことを私は好きになったんだ。
そのことを思い出して、さっきこの人にあげたばかりのいちご牛乳を手に取り寝転ぶ銀さんの側に近づいた。近くまで行っても銀さんは私に背を向けたままで此方を見ようともしてくれない。いちご牛乳の封を開けて口の中に含み、肩を掴んで強引に此方に向けさせた。
私の口内に広がっていた甘いいちご牛乳はゆっくりと銀さんの口の中に流れていく。ホント、こんな甘い飲み物よくゴクゴク飲めるなぁこの人。喉仏がゴクリと音を立てたのを聞いて唇をそっと離した。
「…っ、何やってんのお前ェェェ!!!!」
「え?だって、お祝いちゃんとしたかったから」
「何AVみたいなことしてんだよ!!ちょっとAV女優の気持ちになったわ!こうやって始まるやつあるなとか思っちゃったわ!!」
「ふふー誕生日プレゼントだよ」
銀さんが顔を赤くしながらそんなことを言うから、今度はちゃんと喜んでもらえたとわかった。よし、これで誕生日プレゼントちゃんと渡せたかな。もうだいぶ乾いてしまっていた髪の毛を今度こそ乾かそうとドライヤーを手に取ろうとすると銀さんに腕を掴まれた。
「誕生日プレゼントあれで終わりじゃねーよな?」
「……え?」
腕を掴まれたまま寝室に引っ張られる。いつも銀さんが寝ている布団に体を軽く投げられ組み敷かれた。赤くなっていた顔は悪巧みをしているようなニヤニヤとした顔になっていた。
「さ、誕生日プレゼントいっぱい貰うか」
この後誕生日プレゼントいっぱいあげました。
坂田銀時誕生日2017