03.
その夜、雷蔵が部屋に訪れた。三郎が帰ってこないらしい。もしやと思って名前の部屋を覗いてみたが、彼女もいなかった。
彼女のほうは外出届を出していったようだか、三郎は置手紙といったものも残していない。
上級生と教師で二人の捜索が開始された。
朝になって、ようやく二人は発見された。――最悪な形で。
三郎は血だまりの中、眠るように。名前は崖の下で――。
名前から目を逸らすことができない。罪悪感が一気に押し寄せてくる。
どうしてこうなった?こんなはずじゃなかったのに!
くっ、と腕が引かれる感覚がした。振り向くと、勘右衛門がいた。
「帰ろう、兵助」
それからどうやって帰ったのか覚えていない。ただ勘右衛門に引かれるままに歩いた。
愛しい彼女はもういない。三郎ももういない。
今更だけど、嘘をついてごめん、と二人に謝りたい。けれども、それも叶わぬ夢で。
原因は何かと考えて、思いついた先は、最近忍術学園にやってきたあの女性だった。
早速彼女の部屋へ向かい、驚く彼女を押し倒し、その首に苦無を宛がって。目の前の女はもう動かない。赤い血が広がっていくのをぼんやりと眺める。
「あ、」
やってから気付いた。この女は単なるきっかけにすぎない。二人を追いやったのはきっと自分だ。
血まみれの手で苦無を持ち、そのまま自らの首に宛がう。死んだら許されるのかななんて思って、苦無を引こうとした。
「兵助」
名前を呼ばれたのと同時に、苦無が弾き落とされた。背後から抱きしめられる。
「死のうとしないでよ。これ以上友達がいなくなるのは嫌だよ」
そう言って、勘右衛門は声を上げて泣いた。
もう、今更どうしようもないなあ。そう思ったら、涙がこぼれた。
110208
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