06.


相変わらずくのたまの天女サマいじめは続いていて、そして私の隣には依然として伊賀崎が座っていた。

「私といると疑われるよ」

いじめには参加していないけれど、私だってくのたまの一人である。あまりにも彼が私と一緒にいるから、勘違いされていないか少し心配になってしまう。
私の言葉に伊賀崎は首を横に振った。

「別に構いません。僕が先輩と一緒にいたいだけですので」

そう言って、そっぽを向いた伊賀崎に首を傾げる。たまに彼の言葉が理解できない時がある。今回もしかり。けれども、いくら考えたって分からないものは分からないもので、まあいっかと早々と思考放棄して日向ぼっこを再開した。煎餅を用意しようと思ったが残念ながら只今在庫切れ中。今度買いに行こうと思っている。
しばらく無言で日向ぼっこをしていたが、不意に遠くの方から騒がしい声が聞こえた。段々近づいてくる。やがて視界に入ってきたのは伊賀崎と同じ萌黄色の装束をまとった少年が、三人。伊賀崎に知っているか聞いてみれば、彼らは三年ろ組で伊賀崎の友人らしい。

「孫兵をたぶらかすな!」

開口一番、三人の中で一等小柄な忍たまがそう罵倒してきた。思わず目を丸くする。たぶらかすとか、私、そんなつもりなかったんだけどなあ。でも、私と一緒にいることで伊賀崎に迷惑がかかるのは嫌だったから。
急に立ち上がった私を、伊賀崎は不思議そうな表情で見た。

「それじゃあ、伊賀崎」

それだけ言って、呼び止める声に聞こえない振りをして私は歩き出した。


唖然として名前の背中を見る伊賀崎。三年ろ組の三人も彼女の潔さにただただ口を開けていた。

「余計なことをしないでくれ!」

伊賀崎が今にも泣き出しそうな顔をしたのを、三人は慌てて慰めた。


120422


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