Crazy about you





「で?」
「それだけだよ、心操くん」
「よくその場から逃げれたな」
「無感情にさせた」
「あぁなるほど」


入学初日に仲良くなった私の隣の席の彼は、顔に「どんまい」と貼ったような表情をしていた。まぁそりゃそうだよね。昼間あった出来事は私のキャパシティを超えていた。きっとなんか変な個性に当てられたのかもしれない。うん、きっとそうだ。


「そいつって白と赤の髪だっけ」
「うん、そう。珍しい髪の毛だよね」
「オッドアイ?」
「え、そうだけどもしかして知り合いだった?」
「後ろ」


心操くんが後ろを指差すものだから、条件反射で後ろを向いてしまった。人間の性ってやつだよね。私の席は黒板を前にしたら、教室の左側の一番後ろ。背中には開いてある教室のドアがある。そしてそこにはあれ、白と赤の髪の生徒が、


「マジデー」
「あれから大丈夫だったのか?気がついたら居なくなってるから慌てて探した」
「うーん、人違いじゃない、かな?」
「そんなわけねぇ」
「...寧ろよく見つけられたね?」
「ヒーロー科には見ない顔だったからな、近いC組でよかった。探す手間が省けた」
「私何かした、かな?貴方にそんな探されるようなことした覚えないんだけど...」


よくわからん告白紛いのものはこの際忘れよう。緊急時とか非日常なことが起きた時って人は予想だにしない行動とっちゃうもんね、うんうん。


「言わなきゃいけないことがあって」
「あ、嫌な予感がする」
「あの時は気が動転していた、すまない」
「う、ううん。人間誰しもそういう時あるよね、うん。大丈夫、忘れるから」
「だから改めて言う」
「うん?」
「俺と結婚してくれ」
「あれ、私がおかしいの?」


視界の端で「こいつ大丈夫か?」と顔に貼ってある心操くんが見えた。その言葉、是非口に出してもらいたかった。




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