Even now I love you





目の前には少し眉間に皺の寄っているイケメンと、私の顔の両側にはそのイケメンから伸びる白い腕があった。


「(これが話題になった壁ドンってやつかー!)」


本来ならドキドキするところであるが、私の心はカチンコチンに冷え切っていた。そうだ、彼はフローズンイケメンだもの、しょうがない。
だがこうなってしまったのには原因があった。それは遡ること30分前。


「流石雄英の体育祭は規模が違う」
「どうせこのギャラリーはヒーロー科目的だろ」
「まぁまぁそう言わないの」
「お前競技出んの?」
「出るわけないじゃん。ヒーロー科と争うなんて無謀なことは私にはできない」


そう、今日は雄英高校一大イベントの体育祭である。これはヒーロー科一年生のお披露目でもあるから全国の注目の的である。雄英に入学しておいてなんだが、私は熱いのも暑いのも苦手であるため、体育祭とかはやる気が全く出ない。どうせ普通科はフォーカスされないし。


「ちなみに私臨時保健委員だから」
「...なにそれ」
「怪我が多いから保健委員を増員して軽い怪我とかの処置させるんだって」
「競技出たくないからだろ」
「バレた?心操くんも来ていいよ」
「絶対嫌」


目の前に背の高い心操くんが立ってくれてるおかげで影ができている。ありがたい。そんな時、選手宣誓をA組の生徒が言ってあた。うーん、宣誓?というより宣戦布告という方が合っている。完璧に喧嘩売ってるやつだね?すごいなぁヒーロー科は。恐ろしい。是非とも関わり合いたくない。


「手組んでヒーロー科無気力にしない?」
「やだよこわいな心操くん」
「名字の個性で手当たり次第無気力にしたら勝てるのに」
「私いらないでしょ、君の個性あれば」
「まぁね」
「頑張ってね、応援してる」
「する気ないのに?」
「ええー友達くらい応援するよ。救護室で待ってるね」
「絶対怪我しない」


そんな会話をしていた30分前、開会式が終わって競技を始めるために準備がされている時、私は参加しないからスタジアム内にある救護室に向かおうと思ってたんだ。少し暗い通路を通ってた時、突然腕を掴まれ.....回想終了。最初に戻るというわけである。


「(これが話題になった壁ドンってやつかー!)ど、どうしたのでしょうか」
「.....さっき話してたやつとはどういう関係だ」
「さっき話してた...あ、心操くん?クラスメイトだよ?ただの友達です」
「....へぇ」
「あのー...私救護室に行かなきゃいけないから、その、どいてもらってもいい?」
「なぁ」
「は、はい、なんでしょう」
「俺を応援してくれ」
「はい?」


彼から発される言葉はいつも意味不明だ。オレヲオウエンシテクレ?何故私が彼を応援する?謎である。未だに彼が何故私に好意を寄せているのか分からない。聞きたいけど関わりたくないが優って、聞けずじまいだ。


「...だめか?」
「だめ、とかじゃなくて私貴方の名前すら知らないから...」


そういうと彼はオッドアイの目を大きく広げた。ほんと宝石みたいに綺麗な目だな。


「俺は轟焦凍」
「トドロキショウト....くん、わかった」
「これで応援してくれるか?」
「それとこれとはまた話が別であって...」
「応援してくれないとずっとこのままだがいいのか?」
「応援します!すっごく応援します!」
「よし」


満足気に壁から手を離してようやくわたしから距離をとったトドロキショウトくん。あー、イケメンが至近距離にいるって心臓に悪い。ていうかあのままの体勢な訳ないよね、そんなことだったら彼も競技出れなくなるし。くそう、騙された。
その後無事に医務室についた私は、涼しいこの部屋からモニターを見ていて驚いた


「トドロキくんって本当にフローズンじゃん」








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