そこからはもう私は恐怖を感じて、為されるがままだった。
私の嬌声を抑えたかったのだろう、再び口づけをされてからは私は息を飲むことしかできなかった。
ゴツゴツした逞しい中指に中を擦り上げられ私が軽く達したのを確認すると、桐生さんはアロハシャツもズボンも脱いで、また覆いかぶさった。
また確かめられるように瞳を覗かれる。
彼の顔には感情がなかった。
しまった。 桐生さんにとっては、こんな風に女を抱くことは日常茶飯事なんだ。整った顔をして、己の優しさ、危うさを武器にして、そりゃどこだって狙った女性を喰えるだろう。
彼はこの要領で、人生で何十人という女性を絆してきたんだ。
彼は聖母のフリをしたヤクザだった。
私の穴に桐生さんのモノが充てがわれた。
こわくて見ることもできず、ギュッと目を瞑ったが、逆にメリメリと私の割れ目を割いて入ってくる硬いものが意識されて、失敗だった。
こんなに大きくて痛いことなんてあるんだ。
私は目から涙を流していたかはまったくわからないが、心のなかでは泣き喚いていた。
桐生さんのモノは今までに知らないほど熱くて硬くて、大きかった。先っちょを進めるだけで相当な神経を使うらしい。「ハッ、ハッ、」と桐生さんも浅く呼吸を繰り返していた。
怖くなって目を開けると、感情を取り戻したのか、眉を下げ苦しそうな表情の桐生さんがいた。
パチパチ、と数回瞬きをすると、ゆっくりと口づけてきた。
キスでさらに訳がわからなくなっている間に、桐生さんは緩慢に性器を挿し、抜き、もう一段階奥へ挿し、抜き、三度目でとうとうグッと最後まで押し入ってしまった。
そのまま膝を抱えられる。
私の表情から何を読み取ったのだろう、桐生さんはそれから何も迷わず正常位で私を突き続けた。
私はというとお腹の方、さっきのいいところに桐生さんの硬いものが息つく間もなく引っかかるせいで、目の前がチカチカして感情もグチャグチャで、これはレイプなのか、何なのか、そもそもコンドームは、まさか中出しするつもりじゃ、桐生さんの子供ができたら私は、いやそもそも堕ろされたりするんだろうか。
桐生さんがそんな人だったなんて。
そんなことを考えていても、口からは小さく甘ったるい声が漏れ続けている。
抱きしめてほしい。
そうじゃないと言ってほしい。
私は桐生さんのことを、
ゴリゴリと当たる中が気持ちよすぎてまた達しそうになったとき、桐生さんの動きが少し早くなった。容赦なくイかされ私の身体がビクビクと戦慄いたとき、桐生さんが中から出して、私のお腹に精液をぶちまけた。
何もかもから目を背けたくてなのか、水分不足が祟ったのか、クラクラしたまま私は意識を飛ばした。
――そうだろ?
だからお前には桐生は合わないんだよ
完全に眠りにつく直前に、レストランで聞こえたあの男の人の声が、今度はちゃんと最後まで聞こえた気がした。