「相変わらず強いなあ、もう!」
前回戦った時よりも確実に強くなっているその骸骨は、器用にそれぞれの腕を操ってわたしたちを相手取る。
数は力、と常々言ってきたけれど、相手は一人で四人分動くし、一対一ではとてもじゃないけどさばけないような重たい攻撃をしてくるから本当に強敵だ。
リフィルさんの援護を受けても、その攻撃を受け流すのがやっと。隙を見て攻撃しようにもなかなか隙が見えない。
「あれはおそらく、魔界の者の成れの果てよ。戦いを求めてさまよう死霊……注意して!」
「そうは言いましても〜……獅現陣!」
「孤月双閃!」
「全然怯まねえ!」
「地に伏す愚かな贄を喰らい尽くせ……グランドダッシャー!」
隙が無いなら作るまで、と攻撃を打ち込んでもびくともしない。さすがにダメージの蓄積くらいはされていると思うけれど、それにしたって手ごたえがなさすぎる。片手間に術を詠唱してくるレベルだ。
物理技は効きが悪いのかも、と後方に目配せをすれば、詠唱に入っていたジーニアスが術を発動する。地面を割るほどの術に……少しは、揺らいでくれたけれど。でも、すぐに立て直されてしまうのを見て、彼はぐっと顔をしかめた。
「この術でもだめか……だったら! みんな、もう少し時間を稼いで!」
「わかった!」
「詠唱に集中してくれ!」
わたしたち全員で囲んでいるとはいえ、相手は遠近両対応だ。彼の方へ衝撃が行かないように、骸骨がジーニアスに背を向けるように位置を誘導するように動く。
彼のことを意識から何が何でも外してやる、とばかりに帯を巻き付けてこちらへ向けると、同じように囮も兼ねているのだろうコレットの詠唱が後ろから聞こえてきた。
「御許につかえることを許したまえ。響けそうれいたる……あ。……ま、間違えちゃった〜失敗、失敗……あれ?」
どの天使術を使おうとしたのやら。いろいろと混ざってしまったらしいコレットだけれど、さすがは神に愛された神子。奇跡的に混ざった天使術すべての効果が発動したようで、いくつもの光が降り注いだかと思うと、わたしたちの体が軽くなるのを感じた。
さすがのこの力強い光の雨は、この骸骨も無視できないらしい。呻き声を漏らして、はっきりとわかるほどに隙を作ったのを見て、ゼロスくんの歓声とロイドの合図が響いた。
「さっすがコレットちゃん! 俺様ほれちゃいそ〜!」
「相手が怯んだ今がチャンスだ! いけ! ジーニアス!」
集中するために打ち鳴らされていたけん玉が、一際大きな音を立てて止まる。
ジーニアスの周りに練り上げられていた魔力が形を作り、大きな剣へと変わったかと思うと、びりびりと周りに雷光を散らしながら勢いよく骸骨へと振り下ろされた。
「力の違いを見せてやる! インディグネイト・ジャッジメント!」
骸骨を貫いた剣を中心に、再び雷鳴が轟く。とらえたそれを必ず滅するとばかりに光が明滅した。
「すべては……この刻の……ために……」
それでも伸ばされた手が剣を握り直す。けれど、その手が再びこちらへと振り払われる前に、飛び出したロイドが思い切りその刃を弾いた。
剣は宙へ飛び、甲高い音を立てて転がっていく。そうして切りつけてきたロイドの剣を受けながら、骸骨は、どろりとその形を崩した。
「我は……と……た……ぅ……ぁ……さらば、だ……強き者よ……」