「……終わったのか……?」
「ええ。もう現れることもないでしょう」
どろりと溶けて、そのまま姿を消してしまった骸骨に、はあーっと大きく息を吐く。
リフィルさん曰く、以前までは倒した後に残留していたマナが今回は感じられないことから、おそらく完全に倒すことができたのだろう、とのことだ。
こつんとこぶしを突き合わせて健闘をたたえ合うロイドとジーニアスを眺めながら、とんでもないのが家の近くにいたなあ、と思わずしゃがみこんだ。
「あの骸骨さんも、これで救われたんだね」
「救われた?」
「諦めたんだとしたらなんかつらいけど、満足したんだとすると、もう苦しみから解放されたってことだもん」
みんなが一生懸命頑張って戦ったから、きっと満足したんだよ、と笑うコレットに、そんな考えもあるのか、とわたしたちは素直に驚く。
やたらと強くて怖いなあとか、そんなことしか思えなかったから……相手の事情を考えたり、寄り添うことのできるコレットはさすがだ。
「苦しかった……そんなの、考えもしなかった」
「……なにかこう、思い残すような戦いがあって、満足できずに、ずっとさまよってたのかな」
「魔界の者といっても、私たちと同じ考える知性がある。存在する理由がある。そんな当たり前のことも先入観で見落としていたなんて……私もまだまだね。あなたたちのその柔軟な考え方は、見習うべきだわ」
ふ、と肩をすくめて笑うリフィルさんに、ロイドはきょとりとする。
「コレットを見習うのはわかるけど、俺も? 俺はコレットほど優しい考えなんてできないけど」
「あら、そうかしら。確かに、優しいというよりは甘いけれど、とても私には考えられないような考えをよく思いつくじゃない」
「……それは、俺は馬鹿ってことか?」
「もう、ひがみっぽい言い方をするんじゃありません。何を優先すればいいのか、何を大事にすればいいのか、感覚で理解できる人、と褒めているのよ」
たまに褒めたらこれなんだから、と首を振るリフィルさんに、先生はわかりにくいんだよ、とロイドがむくれる。
うーん、もうすっかりいつもの調子だ。先ほどの激戦なんて忘れました、という空気に思わず笑ってしまえば、他のみんなも同じ気持ちらしい。次第に広がっていった笑顔のなかで、ゼロスくんがぽんぽんとロイドの背中を叩いた。
「ま、ロイドくんは変に考えるより、行動した方がいいってのは間違いないよなあ」
「確かに。違いない」
「ええ〜?」
ゼロスくんどころかリーガルさんにまでそう言われて、彼は少しだけ不本意そうに。でも、まあ、悪口じゃないならいいか、と首を傾げて、じゃあそろそろ行こうぜ、と本来の目的地へと足を踏み出した。