改めてみんなと合流をして、当初の目的であるヘイムダールへと向かう。
クラトスさんが待っているオリジンの封印はここにある、とのことだけれど……そこに向かうために里に入るくらいは、許されるかな。追放されたのはもう四千年前のことだし、たぶん問題はないと思う。
でも、そうしたら。ジーニアスとリフィルさんは、どうなんだろう。オリジンの森に行くための通過くらいは許されるのだろうか。
仮にそれを提案するにしろ、どうやって提案しよう。道を教えてくれるだろうし、その時にちょっとお願いが、となるべく下に出て聞いてみるとか。ロイドに相談する前に、リフィルさんとリーガルさんの意見も聞こうかな。
「ロイド、よくきたな」
なんて、いろいろ考えている間にたどり着いたヘイムダールの入口には、門番の他に族長が立っていた。
どうやら、ロイドがここに来ることを事前に聞いていて、待っていたらしい。
もしかしてこの二日間、ずっと待たせちゃったのかな。そうしたら少し申し訳ないことをしてしまった。
みんなにとっても意味のある二日間の寄り道ではあったと思うけれど、たぶん、きっかけってわたしのこともあるだろうし……や、やっぱり、追放されているのを無視して入るの、よくないかな。だめかも。まだ相談もできなかったし、いっそ裏道とか教わる方が早いかも。
「客人はすでに、オリジンの眠るトレントの森へ入っていった」
「……わかりました」
「では、私たちはここで……」
「待ってくれ、三人とも」
くるりと踵を返したジーニアスとリフィルさんを呼び止めて、ロイドは族長へと向き直る。
何か覚悟したように強く相手を見据えて、背筋を伸ばして。そして、彼はお願いだ、と頭を下げた。
「族長。お願いだ! この二人を村へ入れてくれ!」
その、まっすぐなお願いに、驚いたのは全員である。当然だ。みんな、彼らのことを考えていたけれど、どうしようか、と思うばかりだったのに。それを、こんな真正面からお願いするなんて、思わなかった。
ううん、もしかしたら誰かは提案したかもしれない。さっきわたしが思ったように、通過するだけなら、と考えた人もいると思う。でも、この場所にはこの場所の掟があり、掟ができる理由があり、そこに生きる人もいて……真正面から訴えたって、きっとだめだろうなって、思っていて。だからこそ、どうやって切り出そうとか、絡め手を考えただろうに。
でもロイドは、まっすぐに言う。真正面から、堂々と。それが正しいと信じて。
「今だけでいいんだ。二人は俺の大切な仲間だから、クラトスと決着をつけるところを、二人にも見届けてほしいんだよ!」
「何を言う。ハーフエルフが村に入るなどもってのほかだ」
「……あんたたちのその態度が、クルシスを生んだんじゃないのか!」
「なに!」
「まて、二人とも!」
睨み合いだしたロイドと二人の門番を手で制して、族長はじっとロイドを見る。
もちろん、ロイドだって目をそらさない。そしてお願いします、と再び頭を下げた彼を見て、族長はふうと息を吐いた。
「我々とハーフエルフの溝は暗く深い。しかし、お前の言葉にも一理ある。よって、ただいまからオリジン解放までの間だけ、二人の入村を認めよう」
「族長!」
ぱっと、ロイドが表情を明るくして顔を上げる。
お礼を言おうとした彼に、だが族長はそれも手で制すると、勘違いをするな、と再び語調を強くした。
「ただし、二人はいかなる施設も使うことができない。よいな」
「……けっこうです」
「……やな感じ」
最後の突き放すようなそれだけれど、でもこれが今最大限に譲歩できることに変わりはない。
ほんの少し。今の状態が変わった、というのは、間違いなく希望だった。
……だから、二人も。ちょっと不貞腐れたようなことを言うけれど。その表情に浮かべているのは安堵と、そして、未来への期待、だった。