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シルヴァラントの再生の象徴である救いの塔。
テセアラの繁栄の象徴である救いの塔。
どちらの世界からも見ることができて、今はテセアラにだけ存在するその白く高い塔は、こちらの世界で見ても圧巻の大きさだった。外観は相変わらず違いがわからない。目に見えてわかる違いは、入口までの道がちゃんと存在していることだろうか。
それでも、飛龍までは必要としないけれど、ジャンプしただけでは届かない程度には、入口と地上の間に大きなが溝が存在している。
どうやって入口まで行くのだろう、と思ったけれど、ゼロスくんが近付くだけで階段が現れた。神子であるゼロスくんに反応しているのだろう、と鼻息を荒くするリフィルさんをたしなめながら、わたしたちは閉じた扉の前まで移動する。

「なんだか思い出しちゃうな。世界再生の旅のこと」

扉の前にある神託の石板と同じものを見て、コレットが感慨深げにつぶやく。
シルヴァラントでは、各地の封印を訪れて、コレットが石板に手をかざして道を開いてきた。
仕組みは同じなのだろうから当然だけれど、それがゼロスくんに変わっただけでも、彼女にとっては新鮮な気持ちになるのだろう。知っているけれど、知らない景色。それに目を細める彼女に、ロイドは笑いかけた。

「今度はお前の病気を治すために来たんだ。前とは違うよ」
「テセアラの救いの塔は、どのような構造なのだろうか。さあゼロス! 早く開けるのだ!」
「も〜! おっかね〜な〜」

相変わらず興奮した様子のリフィルさんが、ゼロスくんの腕をぐいぐいと引っ張る。
ほら早く、ここだ、ここに手をかざせ、と迫る様子は、確かにおっかない。

「すごい。無理やり人を脅して鍵を開けさせるボスみたいな顔になってる……」
「リフィルさん、楽しみなんですね」
「救いの塔もまた重要な歴史的建造物とはいえ、彼女の熱意はさすがだな」

こちらに火の粉がかからないようにそっと距離を取りながら眺めているうちに、ゼロスくんが石板に手をかざす。
それだけで、すうっと閉まっていた扉が開いて、おお、と思わず声が漏れた。

「ひゃ〜。どうよどうよ! 俺さまって今、輝いてる? 神子って感じ?」
「はいはいはい。とにかく行こうぜ」
「ひゃひゃひゃ。りょ〜かい」
「……下品な笑い声だな」

リーガルさんが呆れる横で、プレセアちゃんが首を傾げる。
彼女はじっとゼロスくんを見上げると、困った様子で口に開いた。

「ゼロスくん。……どうかしましたか?」
「何がよ」
「いつも以上に……その……」
「なんか……空元気?」

彼女に便乗してわたしも思ったことを口にすれば、ひく、とゼロスくんの頬がひきつる。
やっぱり空元気なのだろうか。そう問いかけようとしたところで、けれどそれより先に、しいながやれやれと首を振った。

「うるさいってんだろ。こいつはいつもこうだよ。ほっときなって」
「ひゃひゃひゃ」

それきり、彼はさっさと先に進んでしまったから、話を聞くことはこれ以上できなくて。
わたしとプレセアちゃんは、ただ顔を見合わせるしかできなかった。