106-2

中に入って、通路を進むうちに、わたしたちの足がどんどんと重くなる。
疲労があったわけでも、何か仕掛けがあるわけでもない。祭壇に続く道は一本道で、魔物の姿もない。
ただの長い、通路。下を覗き込めば、どこまでも下に続く空洞。そこに浮かぶ、見慣れない、けれど見たことのあるもの。
……無数の棺が並べられているのを見て、思わず立ち止まる。特に、テセアラ組のみんなは、悲痛にその表情を歪めていた。

「う……!」
「なんと醜悪な……」
「……なんて悲しい場所なの」

歴代の神子たちだろうか、と呟く彼らに、けれどわたしたちは返事をすることができない。以前、シルヴァラントの救いの塔に入ったことがあるメンバーは、物言わぬはずの棺が語る何かに、驚いて足がすくんでしまっていた。
だって、だって。あまりにも……あまりにも、同じだ。あの時に見た景色と、何もかもが。

「いやそんなことより、ここは本当にテセアラだよな」
「そう……そうだよ! シルヴァラントの救いの塔と、まったく同じじゃないか」

内部の構造も、浮かぶ棺も、祭壇も。
何もかもがシルヴァラントの救いの塔で、動揺が隠せない。
ただ似ているだけだろうかと思っても、隣にいたコレットがぎゅっと自分の体を抱き込んで、体の震えを必死に止めようとしているのを見たら、ただそっくりな場所なだけ、なんて、言えない。

「体が……震える。ここ、同じだよ!」
「馬鹿な!」
「ロイド。これに見覚えはなくて」

リフィルさんが示したのは、祭壇の周りにある折れた柱だ。
一本だけ。それだけが折れている柱にロイドは近付くと、はっと息を飲んだ。

「……これは! 俺がつけた傷だ!」

以前、この場所で起きた戦いで吹き飛ばされた時に折ったものだ、と語るロイドに、疑惑が確信に変わる。
この場所は……シルヴァラントとか、テセアラとか、入る時の世界なんて関係なく。まったく同じ場所なのだと。
二つの世界にある二つの塔ではなく……二つの世界と繋がる、たった一つの塔なのだと。

「じゃあ、やっぱりここは、同じ場所なの……?」
「ここで二つの世界は繋がっているのだ。同じで当然だろう」

祭壇の中央にある広い場所から、そう語る人影が現れる。
……クラトスさんだ。ロイドは、ここに彼が現れることを予感していたのだろう。特に驚く様子も、いつものように噛みつく様子も見せず、ただ少し困ったように肩をすくめてから、彼にしっかりと視線を合わせた。

「クラトス……またあんたか……あんたはいったい何者なんだ? 本当に四千年前の勇者ミトスの……仲間なのか?」
「……わかっているなら話は早い。神子には、デリス・カーラーンへ来てもらわねばならん」
「まだそんなことを言うのか! 世界をゆがめてまで、どうしてマーテルを生き返らせようとするんだ!」
「語る必要はない」

するりと剣を鞘から引き抜くクラトスさんに、ロイドも剣を構える。
わたしたちもそれぞれに戦闘態勢に入れば、ロイドはぎゅっと強く剣の柄を握りしめた。

「……あんたはやっぱり、俺たちの敵なんだな。もしかしたらって……思ってたのに!」
「今更何を言うのだ」
「今度は手を抜くなよ!」