143.飛び立つ、世界

シャトルの中に乗り込んで、中に置いてある椅子に座る。
少し広い飛行機の中のようなそこに、ポアソンちゃんの声が響いて、海の中からせり上がってきたらしいレールにシャトルが乗りあげる。
そしてわたし達を乗せたシャトルは、ポアソンちゃんの言葉と共に一気に加速した。

「シャトル、発射!」

思ったほど中は変わらず、窓から見える景色だけが後ろに流れていく。
だが、レールが上に向かってのけぞっているあたりに黒い点々が見えて、わたしは思わず息をのんだ。
……そこにいるのは、何体もの魔物達だ。
ここから攻撃する術などわたし達は持たないのだから、もしかしたら今大ピンチなのかもしれない。
思わず目をぎゅっとつむる。

「お姉ちゃん!?」

パスカルの驚いた声に目を開けると、窓の外の空にはフーリエさんがいた。
研究所で戦ったあのヴェーレスとかいう合成獣みたいなのを何体も従えて、そのうちの一匹の背中に乗って空を駆けている。
ヴェーレスが吐き出す衝撃波が魔物を吹き飛ばし、シャトルのレールから彼らを遠ざける。
自身に向かってくる魔物をなぎ払う。

「お姉ちゃん……」

妹のいるシャトルを守るような行動に、パスカルはぽつりと姉を呼んだ。
守られている。
わたし達はたくさんの人達に守られて、空の海を突き抜けた。
テレビで見る宇宙のような風景が広がる中で、わたしはやっぱり目を閉じた。
未だに誰一人守れない自分が、せめてみんなの笑顔くらいは守れますようにと。