142.たくさんに、見送られて

「さよならだ! 紫電滅天翔!」
「続けて行くよ、落流星!」

ヒューバートくんの読みやわたしの予感通り、あの魔物達は海辺の洞窟内に侵入していた。
急いで魔物に対して大きなダメージを与えられるアスベルやシェリア、ヒューバートくんを攻撃の中心にして、洞窟内の魔物を倒していく。
あの繭のような物から続々と出て来ているらしいそれらからは、やはりオーレンの森の時のようなあの……理由がわからない愛しさのようなものを感じる。
そのせいというだけではないが、アスベル達が減らした体力のトドメだけをさす以上の攻撃がやりにくくて、わたしはひたすらに戦場を駆けた。
しかし、数は一向に減らない。

「くそっキリがない!」
「どうしよう……このままじゃ……」

シャトルの発射に間に合わなくて、ソフィが、と嫌な予感が過ぎる。
そんなわけにはいかないと自分の剣を強く握り締めた時だった。

「アスベル様! ヒューバート様!」

そう兄弟を呼ぶ声がしたと思ったら、見覚えのある軽い甲冑をつけた人達……あれは、ラントの警備の人達だ……が走ってくるのが見えた。
先頭を走るのは、バリーさんだ。

「え、バリーさん?」
「バリー! どうしてここに?」
「魔物の群れがこちらに飛んで行くのを見て、駆けつけたんです。さあ、皆さんは早く行ってください」

そうハッキリと言うバリーさんの目は、決して無謀な勇気を振り絞っているわけではない。
その目は、アスベルやソフィに似ていると思った……大切な人達を守りたいという、あの強い意志の目に。
それを察したのか、マリクさんは一つ頷いてアスベルを促した。

「行こう、アスベル」
「みんな、ここは頼む!」
「皆さん、ありがとうございます!」

大声で叫んで、わたし達はポアソンちゃんとソフィが待つシャトルまで走った。