1.最愛の世界に、花束を




ふわり、柔らかな声に名前を呼ばれて、わたしは花冠を作っていた手を止めて顔を上げた。
とても大切で愛しいその声の主は、相変わらず……いや、昔よりずっとずっと穏やかな表情でわたしを見下ろしている。
このまま彼女の声だけを聞いていたい。
でもきっと、それは叶わない。
僅かに震える手に気付いて、わたしはそっと彼女を抱き寄せる。
記憶の中よりも大きくなった体は華奢で、さらりと風に揺れる髪が美しい。
暖かな温もりが愛しくて愛しくて。

だんだんと薄らいでいく意識の中で、精一杯の想いを込めて花を贈る。

わたしのいない世界に、花束を。