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その女は、異界の神霊を呼び寄せる事が出来ました。
今界に住まう者共には理解できない言語を用いては会話し、使役する。人智を超えた、否ただ我々が日常を送る中で一片たりとも知りうること、考えることのなかった深淵に続く真理を女は、女の生家は不可思議な力への探究心とそれまでの研究の結果知りうることが出来たのです。
しかし彼女はこの力を与えた家を呪っていました。

どんな事柄にも向き不向きというものがあり、幸い女はこの能力を余すことなく扱うことが出来ましたが、非情なことに彼女と年齢が4つ離れた実兄は、向いておりませんでした。

魔の力を使うことはおろか、今界に存在する神霊とすら交わることの出来ない、非常に純粋な「ただの人間」が彼女のお兄さんです。

女の生家は過去より魔の力を用いることによって、存続しており純粋な人間は女ならば早々に嫁がせるか、男ならば遠縁に押し付けるという悪習を慣例としておりました。

適性ではない、ただそれだけで兄は召使いや親兄弟に虐めぬかれ壊れゆく様を見た幼き少女は、心を深く傷つけていました。

女は、この狂った家を如何にして正すか考えて生きてきておりましたが、彼女もまたこの家に毒されていたようで家を正すだけでなく、彼女の思う世の狂った事柄を全て蹂躙し、消し去るという暴力的な解決を求め始めたのです。

理不尽という抗えない事柄に毒された彼女は、自らの願う解決のため精霊王になるべく、500年に1度の戦いに身を投じ、少年達の前に立ちはだかったのです。