Chapter7 〜奇蹟〜





「死ななかったろ?」


賭けに勝ったかの様ににやりと笑う冬獅郎。

けれど、その身体は倦怠感に耐え切れず、ベッドに横たえられていて。

私は彼の胸を叩いた。

現状出せる精一杯の力で。


「痛ぇよ」


「馬鹿」


「さっきも聞いた」


「馬鹿!何考えてるの?!」


傷付けたくないのに。

殺してしまうかと思った。

恐怖で頭が真っ白になった。

傷付けることしか出来ないなら、消えてしまえばいいと、本気で思った。

なのに。

どうしてこの人はこんなにも飄々と…


「殺してしまうかもしれないのが怖かったんだろ?自分が化け物だとか言ったのも、制御出来ないんじゃねぇかって思ったからじゃないのか」


頷くと、冬獅郎はふっと笑う。


「なら、出来ただろ。じゃなきゃ俺は此処に居ねぇよ」


「だからって…」


どうして、こんな事。

死んでしまうかもしれないのに。

けれど、そんな心の有り様を許さないとでもいうかの様な行動は。


「お前が、俺達と違うのはわかってる」


「なら…」


「だからって、自分を貶めるな。蔑むな。お前はそのままで良いんだよ」


酷く、暖かかった。

泣きたくなる程に。


「…泣くなよ?」


「冬獅郎の、せいだもん」


恐らく初めて本気で流しただろう涙は。

泣き疲れて眠るまで、止まる事を知らなかった。


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