Chapter10 〜予兆〜





夕暮時になって朽木の屋敷に戻る。

何故か夜一も一緒に。

そうすれば、霊圧を探ったらしい白哉が出てきて、夜一に絶対零度の視線を向けた。


「なんじゃ、白哉坊。儂が一緒で嬉しいか?」


「どう捉えればそう見える。貴様は二番隊にでも行けば良かろう」


「良いでは無いか。ルキアと一護もおるのじゃろう?」


「…ルキアは兎も角、あれは勝手に居着いているだけだ」


「ならば儂も勝手に居着くとしようかの」


飄々と交わす夜一に、白哉は諦めたように口を閉じた。

今日は騒がしい夜になりそうだ。


「あ、玲さん。戻って来たのか」


ルキアの寝室前を通り過ぎ様とすると、代行がきょとんと此方を見た。


「今日は白哉と寝る日だから」


さらりと事実のみを告げると。

代行は顔を真っ赤にしてわたわたと暴れ出す。


「今日は?!白哉と、寝る日?!」


勢いよく復唱する彼に私は首を傾げる。

何か変なこと言っただろうか。


「…戦闘しか能が無い子供には分からぬ」


「んだと?!お前、玲さんを…!何てことしやがる!」


「私は何もしては居らぬ」


「嘘つけ!男と女が、ね、寝るってそういう事だろうが!」


「何を想像しておるのか知らぬが、兄が真っ赤になる様な事実は無い」


錯乱気味の代行に、白哉が面倒だとでも言いたげにため息を吐く。

横でルキアまで目を見開いていて、隣の夜一は面白そうににやにやと口元を緩めている。

気になったので情報を検索して…行き着いたのが性交。

成る程、種を残そうとする生物には必ず存在する本能的な物が私と白哉の間であるか無いかで問答しているらしい。

なら、話は簡単。


「代行さん。私に種は存在しない。つまり、存続する必要が無い。これで理解出来る?」


かちりと動きを止めた彼が、ぱちぱちと目を瞬かせて此方を見る。


「いや、あの。そういう問題?」


「違うの?」


私の中の情報では、種の存続の為の本能的な衝動としか出てこないのだけれど。

何か不備があるのだろうか。


「いや…もう良いです。つーか、代行さんは止めてくれ」


「黒崎一護?」


「一護で良い」


「そう?分かった」


そんな会話をしていると、白哉にくいと腕を引かれた。


「玲。風呂が沸いている」


「え、本当?入ってきていいの?」


「構わぬ。上がる頃に食事も出来よう」


「うん、分かった。じゃあお先に」


白哉に笑みを向けて、浴室へ足を向けようとすると、夜一が腰を上げた。


「ならば儂もお邪魔しようかの。ルキア、お主はどうする?」


「玲と一緒に、ですか?」


話を振られたルキアは何故か目を泳がせている。


「うん?ルキア、顔赤いよ?熱ある?」


「ね、熱など、無いが…」


ルキアが何故渋るのか分からなくて、首を傾げていると。

白哉が溜息交じりに呟いた。


「玲。止めておけ。襲われるぞ」


「襲われ…?誰に?」


更に分からなくなって首を傾げていると、夜一がルキアの側に寄って何か耳打ちした。

途端真っ赤になるルキアと、それが聞こえたのか、


「な…?てめぇら女だろうが!」


声を荒げる一護。

結局理解出来ないまま、夜一に言いくるめられて浴室まで来てしまった。

未だ何か葛藤しているルキアが気にはなるのだけれど。

私がお風呂の誘惑に勝てるはずもなく。

半分だけ上げていた髪留めを外し、髪結い紐で髪を縛って、死覇装を脱ぐ。

ルキアがよくわからない言葉を発していたけど気にしない。


「先、入ってるね」


そう一言掛けて風呂場に足を踏み入れた。


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