Chapter12 〜葛藤〜

「それで、お爺ちゃん。皆の制御率はどれ位?」
「松本、阿散井、檜佐木…そして、朽木の四名以外は終えておる。奴等はふざけておったからか、霊圧が大き過ぎるのか…少々梃子摺っておるの」
「了解、上出来ね。それぐらいなら、ちょっと手出しちゃえば終わらせられる。じゃ、今日からは鬼道演習ね」
「…よもや隊長格にその様な事をさせるとは思っておらなんだがの。確かに、先に修行を始めた死神達の鬼道や斬魄刀の攻撃力が上がった事は認めよう。どういう原理じゃ」
すと目を細めるお爺ちゃんに手を出してと合図する。
差し出された手首の制御装置に触れて、少し力を上書きする。
「はい、じゃあ彼処に向かって白雷打ってみて」
つっと指を空へ向けて、的と結界を創造する。
「この様な遊び、何百年振りかの」
呟きつつ、元流斎の指から青く太い雷が迸る。
それは的に当たる寸前で弾けて消えた。
「…お爺ちゃんは殆どやんなくていいかも」
無詠唱で的の近くまで白雷を飛ばしたその技量に、私はぽつりとそう溢す。
「この数字を説明せんか」
「幾つになってる?」
「12、18、88、82じゃの」
「それが上から、霧散率、拡散率、転換率、集束率。
霧散と拡散は0に近ければ近いほど、転換と集束は100に近ければ近いほど、鬼道の威力も、斬魄刀への霊力譲渡率も上がる。
つまり、霊力の無駄な消費が無くなるの。
仮に転換率が30の人が100になってから斬魄刀で闘うと、戦闘可能時間が約三倍に伸びて、更に威力も1.5倍には上がるかな」
説明を終えて卵焼きを口に運ぶ。
話ばかりで、全然食事が進まない。
二日間戦い通しだったから、結構お腹空いてるのに。
「成る程の。それだけ向上の余地があるのならば、お主の意に沿おう。今だけはの」
「ん。じゃあ説明宜しくね。その間に、皆の制御装置に上書きするから」
事付て、お茶を飲んで一息吐く。
後でお腹空いたらなんか作れば良いや、と一先ず食事は諦めて、白哉と冬獅郎にどれだけ上達したか聞きに行く。
「両方、130超えた辺りから上昇率が大分落ちた。今漸く転換140の集束138だ」
「同じだな。わたしはもう少し数値は下だが」
やっぱりコントロールは冬獅郎の方が習得が早いらしい。
「なら、引き続きだね。他の人が貴方達より早いとは思えないし」
「…確かにそうだが…少し落ち込むぞ、瑞稀」
しゅんと耳を垂れる狛村に、遠くで井場が喫驚していたが、取り敢えず無視。
「習得は飲み込みの早さであって、実力とは別。貶してるんじゃないよ、狛村」
「左様か。あぁ、そういえばあの殺気石だが…卍解すれば砕けたぞ」
「あ、やっぱりパワー型なのね、天譴は。更木さんは、斬れた?」
近くに居た更木に話を振ると、不機嫌そうに顔を逸らされた。
「あぁ?半分までしか通らねぇよ」
それでも、狛村の様に叩き潰すのではなく、刃を通しているのだから、恐ろしい物だけれど。
多分狛村に浅打で斬らせたって、少しも通らない筈だから。
斬魄刀との対話と同調に口を挟むのは気がひけるけど。
この人に鬼道を教えたってあまり意味ないだろうし。
霊圧だけなら、全開の冬獅郎と白哉に近いくらい持ってるのだから、少し呼び掛けてみても良いかもしれない。
「そっか。じゃ、転換率は?」
駄目なのは分かってるけれど一応聞いてみる。
「52だ!煩ぇな…」
相変わらず彼には嫌われてる。
最近は斬りかかってこなくなっただけマシだけど。
「まぁ、殺気石簡単に斬れちゃったら、意味無いもんね。私だって、斬れる自信はないし」
「お前でも出来ねぇのか?」
「月読でなら砕けるよ?あの子は霊力に頼らない完全な破壊の化身だから。でも、浅打じゃ多分無理ね」
「…浅打で斬る前提かよ」
「だって更木さんの斬魄刀浅打でしょ?」
確かに、と納得する冬獅郎。
静かにお茶を啜る白哉。
それを遠目で見守りつつ、カメラを手元に隠しているやちる、卯ノ花、七緒、桃。
女性死神協会は今日も今日とて恐ろしい。
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